トップアイドルのその後 - ARS / 潤和雅 - スピンオフ (ページ14)

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14 予定～side雅紀ページ14

あと一週間か…

来週に迫ったGWのことを考えぼんやり天井を眺めていると、同じく仰向けのまま黙っていた詩織が体ごと俺のほうを向いた。

詩「…ねえ、なんか今日変じゃない？」

雅「え？なにが？」

詩「時々考え込んじゃって。どうしたの？」

雅「別にどうもしないけど」

ドキッとしつつ彼女を腕の中に抱え、全身で体温を感じて目を閉じる。
ふわっと香る甘い匂いにほっとしていると、彼女が少し躊躇いながら口を開いた。

詩「あのね、ゴールデンウィークなんだけど…」

雅「あ、実家帰んの？」

詩「…え？」

つい口を挟むと、彼女が疑わしげな顔になる。
しまったと動揺する俺の目をじっと見ながらしばらく考えた後、ああと合点がいったように頷いた。

詩「Aちゃんから聞いたのね…それで様子がおかしかったんだ」

雅「え、えーと…」

すこぶる勘のいい彼女に誤魔化しても無駄だと観念して、潔く謝ることにする。

雅「ごめん！気になっちゃって。あでも、Aちゃんがペラペラ喋った訳じゃないよ」

詩「わかってるわよ」

そんな子じゃないもの、とちょっと息をつきながら笑った。

詩「ごめんね、気を遣わせちゃって」

雅「気なんか遣ってねえよ」

肩をすくめ申し訳なさそうに言う彼女の言葉に、ちょっとムッとする。
お前こそ俺に気を遣うなよ、と言いながら、強く彼女を抱き締めた。

雅「一人で悩んでないで言えばいいじゃん」

詩「だけど…」

雅「俺そんな頼りない？」

詩「そんなんじゃなくて」

私もまだどうしたらいいかわからないから、と浮かない顔をする彼女に、だからこそ一緒に考えようよと言った。

雅「二人のことなんだから、二人で悩めばよくない？」

詩「二人のこと…なの？」

雅「え？じゃないの？」

じゃあ何？と聞くと、ふふふと花が咲いたような笑顔になる。

詩「そっか、そう思ってていいんだ」

雅「は？当たり前だろ」

何言ってんだよと怒る俺に、ごめんと言って軽くキスをした。

詩「それでゴールデンウィークね、妹達がこっちに遊びに来ることになったの」

雅「そうなんだ？帰省はやめたの？」

彼女には妹が二人いる。
下はまだ大学生らしい。

詩「うん。東京観光するんだって。うちに泊めて欲しいみたい。だから、その間は来ないでね」

雅「なんで？紹介してよ」

詩「え？」

会ってみたいと笑った俺を、彼女がびっくりした顔で見つめた。