【本田菊】味方【ヘタリア】２ ページ10
私は、警戒しながらも家に上がった。茶の間に通され、茶菓子と冷たいお茶を出してくれた。
「そうだ。私、晩御飯まだ食べてないんですよ。ご一緒にいかがです？お腹すいているでしょう？」
「…」
「それに、もう遅いですし…。もしご家族がよろしければ泊まっていきませんか？」
「……」
そう私に微笑みかける男の人を睨み続けた。名前もなにも知らない人。私をこの世に引き戻した人。だけど、何故か懐かしくて、離れたくないと思っている自分がいることに腹が立つ。何も言わず、重い空気が二人を包んだ。
「何をそんなに警戒されているのです？」
「…」
「黙ってばっかりじゃあ何も伝わりませんよ。Aさん」
「……？！なんで…私の名前…っ」
思わず、声を出してしまった。私は男の人の名前も知らないのに…。すると、男の人はまた微笑んで「秘密です」といった。普段なら、納得なんてするはずはないのだが、この時は何故か自然と受け入れられた。
「…お腹は空いてません。泊まってもいいというなら、泊まらせていただきます。」
「はい。分かりました。」
この人の声と微笑みを見ると、なんだが落ち着く。せっかくこの世界とお別れできると思ったのにできなかった…。このことに対しての怒りがあったはずなのに、いつの間にかどこかへ行ってしまった。すると、白いふわふわの犬が部屋に入ってきた。
「おや、ぽちくん。」
「…ぽち…？」
「ええ。ぽちくんです。この子が貴方を見つけてくれたんですよ。」
「…そうですか」
ぽちくんと呼ばれた白い犬は男の人に撫でられてるうちに膝の上で寝てしまっていた。この子さえいなければ、私は見つからずに済んだのに。この子さえ…いなければ…っ！ 私は思いっきり机を叩いた。
「…うぅ……っ」
最低だ、最低だ最低だ！！私は、最低だ！いろんな感情が混じり、涙が溢れた。机を叩いた音にびっくりして、ぽちくんは逃げてしまった。「おやおや…大丈夫ですか」と男の人は私の隣に来て、ハンカチを渡してくれた。私はその人の手首を掴まえ、顔を上げた。
「わっ…私…！！さい、てい…です……っっ！！わたしっ！わたしっ！」
「…大丈夫ですよ。何も言わなくても。」
そう言って、男の人は抱き寄せて頭を撫でてくれた。涙が止まらなかった。
「よしよし、きっと貴方は頑張り屋さんなんでしょうね。とても、辛かったでしょう。大変だったでしょう。よく頑張りました。いい子ですね」
私はずっと、誰かにこうされたかった。
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打楽器屋(プロフ) - 光華さん» 嬉しいコメントありがとうございます！ (2020年9月15日 8時) (
レス) id: e2be3355c2 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 土方さん格好いい！！！ (2020年9月13日 19時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
打楽器屋(プロフ) - 香織さん» こちらこそリクありがとうございました(*´ω`*)これからも続けて頑張ります！ (2016年6月20日 22時) (レス) id: 87848b158f (このIDを非表示/違反報告)
香織 - やばい！可愛いよウァレリアヌス..罪だね←ありがとうございました！ (2016年6月20日 19時) (レス) id: 54fa6b7b00 (このIDを非表示/違反報告)
香織 - ありがとうございます！ (2016年6月18日 1時) (レス) id: 54fa6b7b00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：打楽器屋 | 作成日時：2016年6月16日 0時
