【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ【藤木遊作】

毒を吸うのも程々に ページ41

｢翔一さんも酷すぎるよぉ……｣

｢仕方ないだろ、草薙さんもAの身を案じての事だ｣

学校の屋上。Aがタバコをふかして、大きなため息を付けば、ほろろと涙を流した。遊作は柵に凭れかかったまま彼女の悪業に知らぬふりをして、視線を逸らす。屋上への鍵はしっかりと掛けている。二人が誰かに見つかることはなく、放課後の為、ここに来る人もいなかった。

｢だって、翔一さん私にも任せてくれるみたいな雰囲気だったじゃん！それなのに、学校は行くべきだって…生徒会長なら特にとか…うぅ……｣

｢草薙さんはAが学生だってことを半分忘れかけている様だし、仕方ない｣

｢うー…｣

携帯灰皿に吸殻を押し付け、胸ポケットへと仕舞う。しゃがんでいた腰を上げ、遊作と同じように柵へと体を預けれると彼女もまた遊作とは反対方向を向いた。

｢ブルーエンジェルもまた、あれ以来LINK VRAINSに姿を現していない｣

『お兄さまがアクセス出来ないようにしたんじゃね？デュエリストなんてもうやめろ…ってさ！』

｢確かに。あんな事があったら、家族…？なら心配するんじゃない？……元気だといいけど｣

二人の脳に彼女とのデュエルが過ぎり、Aiが構わず茶化しを入れる。Aはバツが悪そうに顔を不自然に逸らし、遊作は自分の意見を素直に述べた。彼女はまだまだ、葵のことを気がかりにしているようで、連絡先くらい交換しとけばよかったなぁ…と心憂いた顔を見せる。それを遊作が気にするように見つめると、Aは作った笑みを貼り付けた。

｢翔一さん、もうデータ解析終わったかな｣

｢帰ってくるまでにはと言っていたが、早めに帰れば負担になる｣

｢どっか寄ってく？｣

｢俺と関わってることは隠してたんじゃないのか｣

｢お互いのためにならないからねー、流石に制服では出かけられないか…。先にお暇するから、遊作は私が出てから五分経ってから、出るようにしてね｣

｢わかってる｣

｢そんじゃ、また後でね｣

Aが屋上のドアから階段を駆け下りる。学校には殆ど人がいなくて、彼女は背伸びをしながら校内を出た。

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