『 』 ページ27
真っ白の空間。何も無い空間で少女が一人。地面へと座りこみ、冷たいそこでAが泣き出した。
｢＿＿＿＿っ！＿＿＿＿＿＿＿＿！！｣
声を出そうとぱくぱくと口を開くも声が出ることなく、こぼれ落ちる涙が頬から喉へと行き着く。しょっぱい、苦しい、息が止まりそうだ。Aが喉を抑えて咳をしても、それが声になることもなく、かひゅかひゅと空気のような音だけがそこに落ちた。
『大丈夫？』
Aが俯いていた顔を上げる、自分の前には誰もいない。姿が見えない、声がするのに誰もいないのだ。Aが怯えて真っ白のワンピースの裾を踏んで後ろへと這いずるように尻餅をついた。
『ねえ、君、』
｢っ…、もう、かえり…たい……｣
『！…大丈夫だよ、もう怖いことなんてない』
｢でも、わたし、デュエルのさいのう…なくて…｣
｢＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿｣
｢え、きこえな…わかんないよぉ……｣
Aは何を言っているかわからず、怯えて枯れた声で泣く。君は、君はどこにいるの？
あの日の記憶。何一つだって思い出せない、思い出せるのは白い空間にいた事だけ。彼女の記憶は、他の誘拐された子達と違い殆ど抜き取られていた。昔の記憶は当然、白い空間でデュエルを強いられたこと以外。全て。
彼女は知らない。自分がここで何をされ、何を隠されたかを。
実験台の上の冷たさ。ごぽごぽと滲む液体の中。ストレスで変色した髪と全てを燃やし尽くす炎の記憶。虚ろな目の少女が失ったもの、それらは全て彼女の中で消え去った。
｢君、大丈夫かい！？｣
ドアを開けて入ってきた、大人達。白い空間へと足を踏み入れた救護員達が毛布で彼女を包み、抱え上げる。
久しぶりの陽の光。
部屋から出る前、誰かが、またねと言った気がした。
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＊鏡花＊(プロフ) - とっても面白いです！更新頑張ってください！楽しみにしてマース((o(｡>ω<｡)o)) (2018年1月27日 6時) (
レス) id: 9c1718446a (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - ヨシュアさん» 再度コメントありがとうございます。実はリアルファイト、VRAINSでもやってほしい！という私自身の希望でして…。夢主は決闘で決着！という決闘者観念より、助ける為の手段は問わない！を選択する子だろうなっていう小ネタでした！にやっとして頂けたなら嬉しいです！ (2017年9月27日 23時) (レス) id: 2c7774ba2e (このIDを非表示/違反報告)
ヨシュア(プロフ) - 遊戯王恒例（？）のリアルファイト…！VRAINSではまだありませんが、デュエル（物理）に思わずにやっとしました(笑) (2017年9月27日 21時) (レス) id: 79e3295e29 (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - 衣深汰さん» わ〜！コメントありがとうございます。遊作くんと夢主ちゃんの関係は互いの心の拠り所であればいいなぁ…という思いで書かせて頂いてます。夢主ちゃんとみんなの絡みが癒しになっていれば幸いです！！これからも小説共々よろしくお願いします。 (2017年9月24日 18時) (レス) id: 012664095e (このIDを非表示/違反報告)
衣深汰(プロフ) - コメント失礼します！遊作くんと夢主ちゃんの関係がとても良いです…！そこに草薙さんとイグニスも入って癒しが…！言葉が足らなずすみません…！更新頑張ってください！ (2017年9月24日 2時) (レス) id: 51088f03f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅりんぷ | 作成日時：2017年9月17日 16時
