【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ【藤木遊作】

プライバシーのない情緒 ページ20

｢あれから病院のデータに侵入して色々調べてみたんだが…｣

ブルーエンジェルがネット界から失踪してから数日。いつものキッチンカーで草薙が病院のカメラ映像を画面に映し出す。そのデータハッキングに罪悪感を感じる者は此処に居らず、人間より人間らしいAiが声を上げた。

『それプライバシーの侵害。犯罪だよ！』

｢Aiちゃんド正論、ウケる｣

『Aは何で煽るような事ばっか言うの！？俺の事嫌い！？』

｢この中でこうやって弄れるのAiちゃんくらいなんだもん。好きの裏返しだよ！｣

『やーん、照れる〜！俺もA好きよ』

｢Aiよく聞け、ハッキングはすべて犯罪だ｣

『あー！開き直ったー！！』

｢なんで二人共ド正論ぶつけ合ってんの？一応私たちは犯罪者集団だからね？｣

｢Aiは黙れ。話を戻すぞ｣

AとAiの掛け合いに遊作がAiを睨めば、なんで俺だけ！と悲しげな声を出す。それを尻目に話を戻した草薙と遊作は真剣なムードへと持っていった。話は当然、財前葵のこと。

｢昏睡状態なのに身体的障害がない…？さらに原因が不明。脳に何かしら影響があるのは分かるんだけど……｣

『それじゃあ、きっとウイルスだな』

三人の疑問にAiが返答を示すと、遊作達は首を傾げた。Ai曰く、それは電脳ウイルスと呼ばれるものらしい。脳に侵入し、人間をコントロールするものなのだそうだが、そんな漫画のようなウイルス。呆れて、そんなものある訳ないと否定した遊作にAiも呆れた返事を返す。

『実際見ただろ』

Aiの正論に遊作は口を閉ざし、今度は草薙がAiに質問を投げかけた。三人とも実際、見たと言えば見た。それに絶対的な否定をすることは出来ない。

｢あれはアバターの暴走じゃないのか？｣

『違うね、LINK VRAINSのシステムを通じてデュエリストを汚染したんだ。ハノイのプログラムを食った時変な味がしたからなぁ…。超まずかった！』

｢そんな夢見たいな話があるわけ…！｣

『Aは信じられないならそれでいいさ。だけど、それ以外に辻褄が合わないのも事実だろ？』

｢っ…！確かに、そうなると辻褄は合う…。…でも！！｣

それ以上の言葉をAiは聞きませんとばかりに、Aから目をそらす。Aは、完全に言い分が無くなったようで二人の会話はそこで終了。遊作が顎に指を当てて考えている仕草を示せば、三人はAiの言い分を信じる方向で話を進めた。ハノイがまさかそんなウイルスを開発しているなんて、そう考えたのは三人同時のことだった。

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