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魔術師と彼と私 ページ29

「島くん、何か言ってた?」

「Play makarと燕青に助けられて、俺も…なんとかって」

「半分以上覚えてないじゃん!てか、本人目の前」

「身バレしてないとわかっただけマシだ」

相も変わらず遊作の家。リビングのテーブルの上で彼の入れたコーヒーを口にし、二人は会話を楽しむ。あのあと、島くんは無事家に帰れたらしい。良かったね。島くんを縛っていた拘束具もログアウト後に自動に外れるようになっていて、ファウストには彼への敵意はなかったようだ。つまり、Play makarを誘き出すための餌だけに彼を使った。Aは温かいうちに、彼が入れてくれたコーヒーを飲み干す。

「そう言えば、サイバース・ウィザードだが……」

「うん?」

「今もここにいるのか」

そう言って彼女を見つめる遊作。Aは不意に遊作から目を離し、後ろにいるサイバース・ウィザードに目をやった。確かに居るし、ご主人の問いかけに首を傾げてる。Aはいるよ、と頷くと遊作が眉を顰めた。

「……Aがサイバース・ウィザードを確認出来るようになったのはいつだ」

「最初から。というか、遊作の周りにはサイバース・ウィザードだけじゃなくて、ピットロンとかリンク・スパイダーとかもいるよ」

「……Aがデュエルをしないのはこれが理由か」

深刻そうな顔で告げる遊作にAは眉を下げて頷いた。元々、デュエルは得意ではない。かと言って、出来ないわけでも弱いわけでもないが。あの事件で、デュエルは嫌という程鍛えさせられたし身についた。だけど、デュエルが苦手な理由。それはカードが壊れる瞬間にあった。負けた時の破壊音、彼らの悲鳴。それがどうしようも、堪らなく苦手だった。Aは困った顔で微笑んだ。

「カードが負ける瞬間が…怖くて」

「……そうか」

「信じてるけど、慣れないの」

そんな言葉に遊作はそれ以上言葉を投げかけるのをやめた。デュエルとはそんなものだと言ったところで、彼女の恐れが無くなるわけじゃない。慰めたからと言って彼女の怯えがなくなるわけじゃない。遊作はその事を理解している。それ以上の口論はやめた。Aは一気にコーヒーを飲み干して呟く。

「カードは遊作のこと信頼してるし、好意を寄せてる」

「……Aにもな」

「私に妬いてる?それともサイバース・ウィザード?」

遊作は口を開かない。その代わり、彼女の唇を塞いだ。

吐息が漏れる音と、コーヒーの香りがそこに広がった。

悪夢という名の天国→←プレス機と私



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設定タグ:遊戯王 , 遊戯王VRAINS , 藤木遊作   
作品ジャンル:アニメ
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遊真 - これから主人公がどうなっていくのかが凄く気になります!これからも頑張ってください! (2019年8月14日 16時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
リナ - しゅりんぷさんの作品、早く読みたいです! (2019年8月6日 23時) (レス) id: cfdd277789 (このIDを非表示/違反報告)
篝月(プロフ) - 初めから読んだので、続きが凄く気になります! (2019年5月24日 23時) (レス) id: 7982b0814b (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - 白哉さん» コメントありがとうございます。ソウルバーナーいいですよね。いつか二人も出せるようにしたいなとは思っております。それまでどうかこの小説とお付き合い願えたら嬉しいです。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
白哉 - できたら穂村尊とフレイム(ソウルバーナー)を出してほしいです。 (2019年1月20日 17時) (レス) id: 8418d83dca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しゅりんぷ | 作成日時:2017年12月13日 0時

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