精霊に愛される者 ページ18
「へっ、くしゅん!……なんか猛烈な寒気がする」
ずびっ、と鼻をこするA。今日は生徒会には寄らず、Den Cityの夕暮れを一人歩く。何故だかわからないがとてつもない、寒気に襲われたA。風邪かもしれない、今夜は暖かくして寝よう…。いや、いっそ遊作を湯たんぽがわりににして寝る。一緒に寝てもらおう。自分がどこかで妄想の材料にされているなんて考えもしないAは自身の両腕を摩る。パブリックビューイングの広場が見え、いつもの黄色いキッチンカーが鎮座している少し手前。そこには同じように帰宅途中な遊作がいた。Aは彼の名前を呼び、ひらひらと手を振る。彼女の姿を確認した遊作はその場で立ち止まり、彼女が自身のところまで歩いてくるのを待った。それにAも駆け寄る。
「Aも今帰りか」
「そうだよ……って、あれ?…遊作」
「? どうした」
Aが遊作の姿を怪訝そうに伺う。Aの突然の対応の変化に首を傾げる遊作、そんなことはお構い無しに彼女は遊作の周りをぐるぐると回った。まるでなにかを探すように。Aはあれ?あれれ?どこ?と、辺りを見回すが遊作は何のことだか分からない。はてなマークを掲げる遊作より先に、Aiが口をついた。
『何探してんのAちゃん、もしかして遊作のノミ?』
「ノミなわけない!!…遊作、カード全部ある?」
眉をひそめ、遊作を見つめるAに彼はデッキを取り出し、枚数を確認する。ぴったり、自分のデッキ枚数あることをAに告げ、遊作は自身のサイバースデッキを腰に戻す。あることを知ったAは余計に怪訝そうに遊作の周りを見渡した。
「……サイバース・ウィザードがいない」
「は?」
『え?』
だから、サイバースウィザードが居ないんだって!叫んだAに今度は遊作が眉を顰める。いつもは遊作の近くにいるサイバースウィザードの姿が今は見えない。今朝見たときは居たはずなのに。しかしカード枚数は変わっていない。Aが落胆する姿に遊作は取り敢えずキッチンカー内で話そうと催促を促した。Aもそれに従い、彼についていく。
「遊作のサイバース・ウィザード、会ったらいつもすぐ手を握りにくるのに来ないからおかしいと思ったんだよ……」
「待て、何の話だ。それにサイバース・ウィザードに手を握られただと?」
『ホラーか!?』
訳の分からないことを言い出すAに二人は混乱気味にキッチンカー内へと足を踏み入れた。
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遊真 - これから主人公がどうなっていくのかが凄く気になります!これからも頑張ってください! (2019年8月14日 16時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
リナ - しゅりんぷさんの作品、早く読みたいです! (2019年8月6日 23時) (レス) id: cfdd277789 (このIDを非表示/違反報告)
篝月(プロフ) - 初めから読んだので、続きが凄く気になります! (2019年5月24日 23時) (レス) id: 7982b0814b (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - 白哉さん» コメントありがとうございます。ソウルバーナーいいですよね。いつか二人も出せるようにしたいなとは思っております。それまでどうかこの小説とお付き合い願えたら嬉しいです。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
白哉 - できたら穂村尊とフレイム(ソウルバーナー)を出してほしいです。 (2019年1月20日 17時) (レス) id: 8418d83dca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅりんぷ | 作成日時:2017年12月13日 0時