【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

後の祭りともいう ページ43

『うひゃ〜！祭りだ祭りだ〜！』

｢いぇーい、どんどんぱふぱふー！！｣

『新しいセキュリティ部長、ネットでめちゃくちゃ叩かれてるぜ！』

｢この動画永久保存版でしょ、これ流しながら作業しようよ！作業BGM！｣

Aiがデータの海をひょひょいっと弄り、自身の作り上げたアカウントで動画やちゃんねる、SNSのウィンドウを映し出す。それをAもすごいすごいと手を叩きながらキャッキャッと喜び二人でSOL社のそれを煽っていた。作業を始めて既に時間が多く過ぎている。その中からめぼしい物も見つからずに、眠たさと疲れが同時に来ているAは正直作業に飽きていたし、テンションもおかしくなっていた。今の状態を簡潔に伝えるなら『Aの今のIQは2』。

『あら〜！わぁ、ボロカスだな。すんごいですね』

｢大口叩いて瞬殺だったからな｣

『どこもSOLテクノロジーの話題は大炎上しているぜ！もう一度記者会見して謝罪しろとか責任者をクビにしろとか……』

｢少し黙ってろ！作業の邪魔だ｣

遊作の怒鳴り声に口をばってんにし、きゅっと黙るAi。その姿にAも可哀想に、と何本目になるかわからない眠眠打破を開けた。正直クッソ眠いし、レッドブルはそこら辺めちゃくちゃ転がってるしやばい。キッチンカー内には既にAだけではなく遊作や草薙が開けた缶と瓶が散らばっていた。Aもそれを一気に飲み干し、一度手を止める。

｢Aiちゃん、SOLのセキュリティ部のネット窓口に匿名で苦情入れときなよ。暇つぶしにはなるかもよ？｣

『それは名案！今すぐ何個か書いて送ってくるー！！』

｢私も、ちょっと気分転換。外でヤニ吸ってくるね｣

｢あ、待てA。外、一人じゃ危ないだろ。俺も今日は気分転換付き合うぞ｣

｢じゃあ、遊作留守番よろしくね｣

｢あぁ、わかった｣

キッチンカーから外へ足を踏み出し、少し歩く。高架下の誰も来ないような場所で煙草を取り出せば、隣で同じように草薙も自身のそれを取り出した。彼がこうして自分の隣で嗜むのは珍しい。火をつけ、体に煙を取り込むその姿をじーっと、見つめれば彼から照れ笑いと同時にデコピンが飛んできた。

｢あんまり見つめるなよ、穴が開くだろ｣

｢穴が開いても翔一さんはモテ続けそうだわ｣

｢ははっ、それは褒め言葉か？｣

｢褒め言葉だよ｣

星空の下で煙が雲に帰ろうと溶ける。そんな姿をただぼーっと二人で意味もなく見つめていた。

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