【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

退廃的リヴェンジ ページ13

遊作がカードを手に取ったあの日。Aの運命も変わったのだ。

同じ傷を持つもの同士、お互い何が必要で何がいらないかなんて分かりきっていた。理解も同情も、普通の未来だっていらない。わからないなら分からないでいい。くだらないと笑うならそれで良かった。



｢A、復讐は下らないと思うか？｣

遊作の言葉にAは息を呑む。運命に抗うと決めた日、彼が悲しそうな顔でAを見つめた。同じ境遇の者同士、手を差し伸べあった関係。それは恋仲と呼ぶに近いものまで発展した。同じ部屋で向かいあわせで立っている二人。Aは遊作の言葉に意を決して口を開く。

｢それはきっと何も知らない人の台詞だよ｣

｢……｣

｢復讐の先には何も無いかもしれない。きっと、虚空だけが広がってる｣

｢だけど、俺たちは……｣

｢そう、私たちはそれを探さなきゃ前には進めない。…それでいいじゃない｣

｢……！｣

｢やりたいこと、やらなきゃいけないこと、それはそれら全てが終わったあとで探せばいい。虚の先に広がる虚を探すことは無駄かもしれない、だけど意味がないことはないよ｣

｢A、お前が望むなら俺は…お前を……｣

｢手放さないで｣

｢っ、しかし、俺はお前を巻き込んで……｣

｢いいよ、私の全部。遊作にあげる｣

Aの言葉に遊作は目を開いて吃驚する。彼女の方はいつも通り優しい微笑みを浮かべていて、Aは遊作を抱きしめた。共依存だって、笑われるかもしれない。だけど構わなかった。彼が望むなら、自分の人生も金色夜叉として成り果ててやろうではないか。Aに抱きしめられた遊作は、震える手で抱きしめ返す。

｢私たちで何かを掴むの、これは私たちの物語だから。何を言われたって関係ない、それを果たさなきゃ進めない運命だってある｣

Aの胸の中、今にも泣き出しそうな彼を強く抱きしめる。二人は暗い部屋で運命に抗った。

彼が生きる世界を私は愛せない。

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