【遊戯王VRAINS】空白アルビレオ２【藤木遊作】

屍の見る夢 ページ18

※流血表現はありませんが、ちょっと鬱注意



狭い空間の中。体への負荷が予想以上にかかりすぎたせいで、Aは空いた扉から倒れそうになる。

｢大丈夫か、遊作！A！｣

よくやった、そう褒めてくれる草薙が顔を横に向けると目に入る。倒れそうになった体は、がっちりと遊作に抱えられたようで、彼もまた壁へと体を預けていた。しっかりとした胸板から、彼の体温と匂いが燻って、そんな状況じゃないことは分かっているのに。Aは真っ赤になった顔を彼に埋めた。

『みんなオイラのおかげだよ〜』

｢あぁ、お前もよくやった｣

草薙に褒められ、喜んでいるAiを尻目にAはゆっくり体を起こして席へと座る。Aiは褒められた後、結局自分の体を調べられることにテンションを下げて目を細めている。当然だ、何のためにマザーバンクに行ったと思ってるんだ。Aは溜息をつき、タイピングへと取り掛かった。

｢…あ！遊作、翔一さん見つけた！これだよ｣

｢ドクター鴻上…本名鴻上聖。ハノイプロジェクトを立案実行？｣

ハノイプロジェクト、その言葉にAの胸は嫌に高鳴りをあげる。これを探すために持ち帰ったのだから、その名前が出るのは当然。だけど、いやだ。思い出したくない。Aが顔を真っ青にして頭振るも脳はそれをやめてはくれなかった。

フラッシュバックする、あの日の記憶。



｢やだ！やめてよ！！どうして私ばっかり…！！｣

デュエルが弱かった私。突然連れてこられたこの白い部屋で、負け続けの日々。それを誰もが許さなかった。Aの美しかった髪をバッサリと切り落とされ、電撃を受け続け、ストレスが体を支配し、髪が変色した。

｢なんで、なんでなの…やだ！お願いやめてよぉ…！！｣

泣いて叫ぶ部屋で誰もその声は聞いてくれなかった。きっと負けた数だけ、先が黒色に染まった針を体に刺されている。それが何かを描くように動いて…、痛い。実験台の上、冷たいそこで体に刻まれる何か。それだけじゃなく、注射器がAの血管を指し、何かを流し込んだ。

｢君は＿＿＿だから…だから、＿＿＿＿＿＿｣

埋め込まれていく。

緑色や青色、得体の知れない薬が何本も刺され気を失う頃。誰かが言った。私にはたくさんの実験が施されたらしい。




私は＿＿＿＿＿＿＿＿。




｢君は＿＿＿＿で出来た＿＿＿＿＿＿＿だ。君には＿＿＿＿＿＿＿＿。｣





あぁ、あつい。Aはくらくらと目眩がする中、ぼんやりと目を細めた。

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