遠くの街としあわせと・・５(なれそめ・高木家編)街シリーズ(５)

＝雄也くん・５＝ ページ5

「ふふっ＿＿＿。
　なぁ、お前気付いたのか？俺がお前の
　キノコカットの寝ぐせ、フーッと吹いたの
　なぁ、気付いたのか？」


僕は声が出ないまま、こくりと頷くと

波乗り王子さまは、ニコニコ笑って

「何だよ〜〜。暗ぇ顔して。
　どーした？体調でもワリィーのか？」



「ん。。んーんっ・・。」


また声が出ないまま、

ぶんぶんっと頭が取れそうな程

首を横にふった。




波乗り王子さまは、僕を見て

楽しそうに笑って

「くくくっっ＿＿＿。‥しっかしお前
　面白れぇーな。何、ビックリ顔なんだよ。
　目が真ん丸だぞ？」




僕は、早く話したくて、お礼を言いたくて、

でも・・。



落ち着こうと思って、すぅっと息を吸って

肩を揺らして、ふぅーって吐いてから

「あ、ぁのっ。」


「おお。何だよ。」

波乗り王子さまがまっすぐ、見つめてくれる。




僕の心の・・何か。

ガマンしていたものが・・全部。

堰を切ったように溢れ出した＿＿＿＿＿。



「あ。ぁの・んと・・ひっくっ。
　ふぇっ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。」



溢れ出した気持ちが、涙になって零れて来た。

泣いたら、だめ。だめだのに＿＿＿＿＿


「ぅんぅ――――。」




波乗り王子さまは、びっくりまなこで

「ちょっ＿＿＿。ちょい、ちょい。
　おい。どーしたんだよ〜。泣き出しちまった・・。
　そんなビックリしたのか？なぁ、おぉ〜〜い。」



僕は手で一生懸命涙を拭って

「ち、ちがぅの。ごめ。。ごめんなさぃぃ。
　な、泣きたいんじゃなぃのっ・・僕は
　この前、この前のお礼・・おれぃを＿＿＿＿＿」


「あ〜〜。もういいから、喋んな。ほらっ。」

そう言って、波乗り王子さまは、

僕の肩を引き寄せて

「俺の胸で、泣けよ。＿＿＿な〜んつって。」

ガハハ〜って明るく笑って慰めてくれた。




・・あったかいなぁ。・・あったかい。





＿＿＿＿＿＿涙も気持ちもおさまって

僕は、波乗り王子さまの腕の中で、

もぞもぞ。体を離しながら、もしょもしょ。もじもじ。


「んと。・・んっと。あ、ありがとぅござぃましたぁ・・。
　そして、その。泣いちゃって‥ごめんなさぃぃ。」



「いーや、別にい〜〜って。」


「あ、あと。この前は‥教科書
　ありがとーござぃました。・・その・・
　もう一度、お。おれぃ言いたくって‥僕。」


「いいえ〜。しかし、律儀なヤツだなぁ〜お前っ。」


「・・そ。そんなぁ・・。」

「あっ。そーだ、俺。
　俺な、高木。高木雄也なっ。」

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