遠くの街としあわせと・・５(なれそめ・高木家編)街シリーズ(５)

＝雄也君・２３＝ ページ23

「また、くーってなったよ、慧。
　ふふ。中２の時から変わんねぇーよ。」


「かわんね・ぇ・・？」


「ああ。変わらない。慧を想う気持ち。
　ずーっと可愛いし、ずーっと守って
　しあわせにしてやりてぇって思ってる。
　・・慧。ほら、おいで＿＿＿＿。」



ニコニコ笑ってた慧は、話しの途中で

ポタリと一粒涙を零した。



「ほら、慧。」

両手を広げると、きゅっと俺の腕の中に入ってくる。



俺は慧の、細く頼りない背中をもっと引き寄せて

優しく膝に座らせ、包み込んで抱き締める。



可愛いらしい唇で

俺の名をあの時と変わらない可愛さで呼んでくれる。

「雄也くぅん・・。」


「ふふ。雄也君って‥
　あの時に戻ったみたいだなぁ。な、慧。」


「ん。今日ね‥涼介と光がはなしてーって言うから
　雄也くんのお話ししたよ。」


「え？・・また話したのかよ。
　しっかし好きだな〜。あの２人っ。」


「ん。‥雄也くん。・・ゆうや・くん。」

ぎゅぅぅぅっと抱き締めてくる慧に



「なんだよ、慧。どーした？」

優しく囁いて、慧と見つめ合う。

「何、慧・・。」



「ん。雄也くんは、僕の波乗り王子さまぁ。
　すき。だーいすきぃ。」


「ああ。俺の可愛いお姫様。
　俺も好きだ。愛してるよ慧。」

「雄也くん、ありがとぅ。僕を＿＿＿
　慧を‥ぴんちから救ってくれて・・
　しあわせな海のおそばに住むお姫さまに
　してくれて・・ありがとー雄也くぅん。」


「慧・・。
　なぁ、可愛いお姫様。また誓わせてくれよ。
　始まりの数学の教科書と・・今の＿＿＿＿
　綺麗な海と青い屋根の家に‥誓うよ。」


「ちかぅ・・？」

「ああ。俺の可愛いお姫様、慧と・・
　俺と慧の可愛い一粒種の侑李を、これからもずっと
　ここで、この街で愛し、しあわせにするって。
　これからもずっと、ずーっとそばに居るから。
　な、慧。」



「ん。‥ぅん。
　あ、ありがと。ありが・とぉ、雄也くん。」




涙で濡れるあの時と変わらない

真っ白な純粋な、慧の頬に

柔らかくそっと、キスを置いて。


あの時と変わらない

ピンク色のサクランボの様な唇に



柔らかく柔らかく優しく

そっと、そっと、キスを置いた＿＿＿＿＿。



慧は震えた睫毛をゆっくり開け

あの時の頬を染めた仕草で

「んふふ。・・
　王子さま‥ちゅぅ。しちゃったぁ♡」って呟いた。



ずっと変わらない。

あの時と変わらない気持ちで

これからも＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。




＝おわり＝

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