遠くの街としあわせと・・５(なれそめ・高木家編)街シリーズ(５)

＝雄也くん・１２＝ ページ12

＿＿＿＿＿こわい。＿＿＿＿＿＿＿


こわい。こわい。こわいね。

いやだ。いやだ。いやだなぁ・・。

またあの日々の繰り返し。繰り返し。


学校がこわい。こわいなぁ＿＿＿＿＿＿＿。




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿





夏休みの間僕は、ニコニコしていた。

たかきくんのおかげで、笑顔で過ごすことができた。



学校が始まってしまったら、

僕はどうなってしまうのかな。

ちゃんと学校に行けるように・・

勇気を元気を、もらわなくちゃ。



たかきくんに、もらいに行かなくちゃ＿＿＿＿＿＿＿




＿＿＿夏休み最後の日。


僕は夕方、４時に海岸に行った。

海を見つめて、僕は・・

僕は、僕の波乗り王子さまを探した。




＿＿＿いなかった。



いなかったの。

波乗り王子様は、僕の前に現れなかった。

遅くまで待ったの。

暗い海岸で・・待った＿＿＿＿＿＿




ねぇ？たかきくんは？

ねぇ。どこに行ってしまったの？

僕の事、やっぱし・・嫌になった？

うざったいって、可愛くないって、

会いたくないって・・思った？



僕が・・僕が、ニセモノのお姫さまだから？




笑顔で遅くなってごめんって・・

そう言って笑って来てくれるって思ってた。

俯いていても、僕のキノコカットの寝ぐせを

ふぅ〜って吹いてくれるって。

そう・・思ってたの・に・・。




来なかった。こなかった。コナカッタ。


ねぇ。僕の、僕の波乗り王子さまは・・・？




僕はトボトボと俯いて、暗い広い家に帰って

僕はモソモソと俯いて、暗いダイニングで

夜ごはんを食べた。


湯船にちゃぷん。っと浸かったら

急に涙が溢れてきた。

ぐっとガマンしょうとしたけど

もう無理だった。



たかきくんの陽だまりの温かさを知って＿＿＿＿

優しさを、温かさを

僕は知りすぎてしまったみたい。



涙が止まらない。止まんないよ。



泣きながらお風呂に入って

泣きながら本を読んで

泣きながらベッドに入って

泣きながら寝た。



明日からのまた、嫌な日々がやってくる。

繰り返し。繰り返し。




怖い。怖い。怖い。

逃げてしまいたい。逃げてしまいたい。逃げて＿＿＿＿＿



真っ暗な暗闇で、歪んだ天井を見つめる。




たかきくん。たかきくん。たかきくん。

たすけて。助けて。タスケテ。

僕、壊れちゃうよ。壊れてしまう。



やっぱり僕はニセモノ。ニセモノなんだ。

ニセモノの姫に王子はこない。

もう、僕は・・終わりだ・・おわ・り＿＿＿＿＿＿＿＿。

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