遠くの街としあわせと・・５(なれそめ・高木家編)街シリーズ(５)

高木家　＝雄也くん・１＝　〜けいさいど〜 ページ1

時々、さみしくなると・・あの時のこと

思い出すの＿＿＿＿＿＿＿＿＿。


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絵本の中の王子さま。

お姫さまが困ってしまった時に

さっそうと現れて、ピンチを救ってくれる。

王子さま。王子さま。・・王子さま？

ねぇ。・・ねぇ。

僕。僕のトコにも、来てくれたらいいのに・・。




目を瞑ってしまいたい、耳を塞いでしまいたい

そんな＿＿＿。そんなツライ毎日でも・・

どんなに苦しくても・・



僕には来ない。僕には・・来てくれない。

・・僕には、来ないの王子さま。

女の子にしか、来ないの。



僕は男の子だから。強くいなきゃいけない男の子だから・・

僕が“女みたいでキモイ”って、いじめられても

来ないの・・王子さまは来ない。



ニセモノの女の子だから、ニセモノのお姫さまだから

来ない。来ない。来ないんだー・・。



ひとり。ひとりぽっちは、さみしい。

ひとりぽっちは、いやだ。いやだね。


＿＿＿ああ。・・いやだなぁ・・・・・。



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



中学２年生になって少しして、

クラスの目立ってる女子の好きな人に

僕は、『可愛い。』って言われた＿＿＿＿。



体育が終わってジャージを着てる時

その人、先輩は僕を女子だと間違えた。


廊下の曲がり角でその先輩にぶつかって

起こして助けてもらった。



髪を撫でられて、

『気をつけなよ。ふふ、君可愛いね。』そう言われた。


それだけ＿＿＿＿＿それだけのコトだった。




廊下での出来事だったはずなのに、誰も見ていなかったはずなのに

何故だか目立ってる女子の耳に入って・・

僕は標的になった。



そのクラスの女子の頂点にいるその子に

目を付けられてしまったんだ。



最初は、その女子の仲の良い数人に無視された。

それから女子全員になって。

クラス中になって。

有りもしないウソの噂を流された。



とても苦しくて。生きた心地がしない日々。

いつもいつも、うつむいていた。


怖かった。もう嫌だった。



学校が怖い。女子が怖い。人が怖い。

学校に向かう道が怖い。制服が怖い。

学生カバンが怖い。

教科書もノートもシャーペンも消しゴムも

何もかも、全部が怖い。


朝も怖くて怖くて・・目を開けたくなかった。



＿＿＿＿＿＿＿逃げたいよ。

＝雄也くん・２＝→

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