騎士の俺がヴァンパイアになった理由 YG

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YG「王は死んだ

　………王は、死んだ。

　それでも私たちは戦う

　王が残したこの国を、この領土を

　砂の一粒も、他の国にくれてやるつもりはない

　戦え。そして、勝て

　今は亡き王の為に

　……女王の、為に」







女王の為に
私の、為に…






その言葉が重くのしかかる





この国の騎士は強豪
でも、人は死んでしまう

それは前回の戦いで
父が死んだ戦いでよくわかった



私は女王だ
父が死んだたった6時間前に
女王になってしまった



周りを見てみろ、戦だ
周りを見てみろ、食糧難だ

いったん静かになった国同士の領土争いが
私の父、王が死んだことによって再び始まった


女王である私の首を獲れば
この国は女王の首を獲った者の国となる


私の首が獲られる
それはすなわち、騎士の彼らが負けたということ



我が国の勇気
我が国の希望
我が国の宝の彼ら






マリア「ちくしょう…」






そんな私のつぶやきを押しつぶして
足並み一糸乱れぬ第2騎士団の彼らは、国を出てしまう



王は『戦い』と『国』におけるすべての権限を持つが
女王になった場合、『戦い』における権限は騎士団長へ託される


父が私を守るために考えた
新しい規則だ



まったく
本当に余計なことをしてくれた



ここにいても腹が立つだけだし
もどかしいだけだ
さっさと部屋に戻ろう





YG「…陛下」





おっと
通せんぼだ

目元だけでもとってもわかりやすい
ちょっと怒ってる





YG「なぜ式に出なかったんですか」


マリア「陛下？それに敬語笑

　私の身分が昇格すればあんたは大人しくなるんだね

　つい6時間前まで偉そうにため口使ってたくせに」


YG「建前だ。…ジョングクが見てる」





彼の視線の先を見れば
自分の兵を指示して城を出ていくジョングクと
一瞬だけ目が合った





YG「…俺のことが気にくわないのはいいが

　父の最後の式ぐらい出たらどうなんだ」

マリア「あぁ気にくわないね」





今は彼が、『戦』の王だ
いくら私が前線で戦いたいと言っても
彼が『NO』といえば『NO』になる





マリア「だからあんたの説教なんか聞きたくない」





彼の目が伏せた





マリア「どうせ女が戦いに参戦したから王が死んだとでも思ってるんでしょ」

YG「そんなこと思ってない。俺はただ」





私は彼に『喋らないで』と手でストップした

私は可愛いプリンセスじゃない
女王だ



この国の騎士団長のユンギ
きっと彼が死ねば
この国は終わる





私はそれを、弓部隊として見守ることしかできないのだ

平和を祈ることしかできないのだ








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