折り方1。 ページ3
Aside
ザッ…ザッ…
『ここまできてたんだ…｡』
会社から電話がかかってきた時は、少し寂しくなった。だっていつもこんな時は
「仕事長引くから一緒にご飯食べれない」
とか
「明日会議入ったから、旅行行けなくなる」っていうことを伝える電話だったから。
───でも…違った。電話に出ると同じ会社の人が「もしもし、亦下さんのお宅でしょうか…ってAさんですか。あの……ま、亦…亦下さんお二人が───お亡くなりになられました。」
最初は、嘘だと思ってた。私を驚かせるための嘘だって。でも会社の人の事故で亡くなっただとか、Aさんはどこの施設に入れるだとか聞いてるうちに、ああ本当なんだなって思ってしまった。ただひたすらに自暴自棄になり、なんとなくで森まで歩いて行った。
森まで歩いている途中は自分でも何を考えていたかわからない。山頂に着いたときにはっとして空を見上げると、月が限りなく自分に近づいているように見えた｡
『…あれっ』
急に視界から月が消えたと思ったら自分は仰向けで倒れていた。ああ、体力を使いすぎたんだ…。
『お父さん、…お母さ…ん』
家族写真の幸せそうな両親の顔を思い出しながら、私は意識を手放した。
〜〜〜
──side
ザッザッ
？「パトさんったらあんなムキになっちゃって。まさか1キロも追いかけてくるだなんて撒くに撒けませんでした…逃げるのに夢中でこんなところまで来てしまったし｡」
でも今日撮った映画、なかなかに面白かったですね〜！アジトに帰ったらもう一度じっくり見てみましょう。………ん？
『…』ｸﾞｯﾀﾘ
…んんん？女…の子？山の中で人が倒れてるなんてホラー映画でしか見たことないですけど。とにかく起こしたほうが良さそうですね。
「すみません、大丈夫ですか?」ﾕｯｻﾕｯｻ
…うーん、全然起きる気配がしない。こういう時は交番に迷子として届けたり、警察?に電話したりしたほうがいいんでしょうけど、私はついさっき撒い
てきたばっかりでしたからね…。電話しても現場について電話した本人がいない!なんてことになったら困ります。かといって、このまま置き去りにするなんて罪悪感が…とりあえず私のところで保護して、起きたら事情を聞いてこっそり家に送ってあげましょう。
「それじゃ、失礼します」ﾖｯｺﾗｼｮｯ
行きますか。
〜inアジト〜
『……ん』
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作者名：tonutane | 作成日時：2021年9月18日 2時
