[wrwrd]赤に溺れる６ (ページ43)

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「さあ、……まトントン、気にかけたって。あーでも……」

彼はやや黙ってから、

「依存されんようにだけ、な」

＿＿その言葉は、彼の間延びする穏やかな声によく似た色を持っている。
穏やかであると言う事は、仄暗い色がないと言う事ではない＿＿と言う事を、俺は初めて思った。

そしてこの彼の忠言は、どうしてだか冷たく突き放すような言葉の響きながら、何かを＿＿例えば守ったり、為そうとしたりするような、難しい色を取っていた。

俺の脳に彼のこの言葉は、酷くこびりついた。

依存、と言う言葉が出てきて＿＿＿何だかが変わった気が、したのだろうか。

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＊＊

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抜錨＿＿＿＿

囂々と風車が回るのが、水兵の声、金属音、そう言う諸々に打ち消されるのが解る。
子供達が乗っている。ある種これはノアの箱舟だ＿＿＿

手を振っている、……沢山の人が手を振っている。何か叫んだり、ハンカチを振って。
目についたのは一人の男の人。少し褪せた金髪で、肌は少し焼けている。

当たり前だと私は信じて疑わなかったし、その理由は関係なく、只行動だけが結果なのだから、わたしの大好きなダッドと同じおとなが言う事はほんとうだと思っていた。

大人程うそをつく。
狡猾な子供と同じように、否嘘を着用して歩いているのは何方も同じだけど＿＿

「＿＿＿＿セレナ＿＿＿＿！確りなァ＿＿＿＿＿！！」

つられて手を振った、一体誰の事かしら、……
波風切って船は遠ざかる。彼らの姿も港も、軈て見えなくなるだろう。

促されて船内に入ろうといい子に列になっていると、甲板で兵隊さんが縦に敬礼をやっていた。
陸の兵隊さんは、横にピシッ、と決めるのだ。わたしは小銃を背負ったあの見回りの御兄さんが大好きだった。……

急に、私はゆらゆらふわふわと地面が落ち着かないのが気になりだした。
潮の香りが胸を焼いて、吐き気を催す。

＿＿＿お母さん、駄目(あかん)の、私一人じゃあ、……。

駄目だ、ダッドが信じて送り出してくれたのだから。
明美だっている、姉がこの体たらくでは妹をなんて、…………

……？

＿＿＿＿わたし、

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妹なんて、いない。

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side yours

「ッ＿＿＿！？」

目を、醒ました。
息を詰めていたらしい、凍ったような固形物に近い息が出て、喉の塞がったような感覚が多少マシになる。

潮風の匂いはない。清潔なアルコールの匂いが肺を消毒してゆくようだった。