肆-12 ページ12
Aへ
この前はお見舞いに来てくれてありがとう
また、君と出かけたい
空いてる日があれば教えて
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
というあの手紙から結局一週間も経ってしまったけれど
やっと今日、私は無一郎君と二人でご飯を食べに来ることが出来た
「ん〜美味しい、温まる…」
目の前には湯気の立つ、出汁のいい香りがするうどん
ふと顔を上げると、私の顔を見ている無一郎君が居る
「君、凄く幸せそうに食べるね」
「えへへ、私このうどん好きなんだ!無一郎君は好きな食べ物とかある?」
「うーん…僕は、えっと…あれだ、ふろふき大根」
「へぇ!じゃあこの前はちょうど良かったんだね」
「そう、君が作ってくれた…もう一度食べたいくらいだった」
「それなら、また作るよ」
「…いいの?」
「もちろん、私で良ければ!むしろそう言ってくれるなんて嬉しい」
それから蕎麦を一口啜って、無一郎君は静かに話し始めた
「最近…僕ね、君の事なら忘れないんだ」
「え?そう、なの…?」
「全てを鮮明に覚えてられる訳じゃないけど、何故か他のことに比べたら忘れにくくて…何かを覚えていられるって、こんなに安心するんだね」
私はいつの間にか箸を持つ手を止めていた
穏やかな優しい顔で、無一郎君がそう言うから
「…ね、A」
優しく私の名前を呼ぶから、思わず期待してしまいそうになる
もしかしたら記憶が戻ったんじゃないかって
「っ…?」
脈が変だ…心拍数が上がってる…?
あ、温かいものを食べて体温が上がったからか
「それ、冷めちゃうよ」
いつの間にかぼーっとしてて、無一郎君の蕎麦はもう四割くらい減っていた
私はあと半分と少し残っている、早く食べなきゃ
「そ、そうだね…っ」
…無一郎君は、私の事なら忘れにくいって言ってたけど
お館様や柱の方々の事も忘れてないらしいし、きっとたくさん接した人なら忘れにくくなるんだな
記憶障害とは言え、記憶の定着の仕方は普通と変わらないなら
失われた記憶を元に戻すのは?その方法は…?
何か手がかりがあるのかな…
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みやび(プロフ) - ずっとずっと待ってるので大丈夫ですよ!🎀 (4月14日 22時) (レス) @page50 id: 6d224a7bcb (このIDを非表示/違反報告)
みるくここあ(プロフ) - ゆっくりで大丈夫ですよ!更新されたら皆また読みに戻ってきますよ✨✨ (4月12日 1時) (レス) @page50 id: 4db17488dc (このIDを非表示/違反報告)
みやびりじゅ(プロフ) - みやびさん» なかなか更新できておらず申し訳ありません😢読んでくださってありがとうございます! (1月30日 23時) (レス) id: 00121ded6d (このIDを非表示/違反報告)
みやび(プロフ) - 久々の投稿ありがとうございます🥰 (1月24日 0時) (レス) @page47 id: a01fa8ae4e (このIDを非表示/違反報告)
愛っち(プロフ) - みやびりじゅさん» 仕方ありませんね💦来年の楽しみに取っておきますね!頑張ってください (11月8日 18時) (レス) id: d531dd11f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやびりじゅ | 作成日時:2023年7月9日 21時