193.通話 ページ3
キキョウは兄・ナツメとしばらく会話を続けていた。
「…そうなんだ、君が元気そうで何よりだよ」
「…はい、お兄様もそちらで楽しく学校生活を送られているようで安心いたしました。
あの…もし宜しければ一度こちらにもいらしてください」
「うん、スケジュールを合わせてそちらに行きたいと考えていたんだ。
久しぶりに弟と話せて嬉しかったよキキョウ」
「私も嬉しゅうございます…!」
「ああ、ダリアお嬢様や、旦那様や奥様にもよろしくな。
ところでキキョウ…少し聞きたいことがあるのだけれど」
「はい、そう致します…お話とは一体…?」
「ダリアお嬢様について気になることがあったんだ。
マロニエさんというバイオリニスト…知っているかい?」
「マロニエさん…はい、もちろんでございます。
ダリアお嬢様の憧れのバイオリニストの方で…」
「そのマロニエさんの息子さん…ローレルという少年が話題に上がっているんだ。
彼は父親の影響でピアニストになったそうだが…」
「そうなんですね…ああ、思い出しました!
私、先日ダリアお嬢様と町の音楽コンクールに参加いたしました。
その時にその方も参加されていました」
「そうだったのか…そのローレルにはある噂が広がっているんだ。
どうやら、ダリアお嬢様と交友を深めたいという内容なんだ」
キキョウは驚いた。
「え、ダリアお嬢様と…それは誠なのですかお兄様?
しかし、なぜお兄様がそのような情報を…」
「僕のクラスに音楽業界に詳しい友達がいるんだ。
彼から聞いた話でね…その音楽コンクールがきっかけみたいだと聞いたよ。
お嬢様の演奏に感動したそうだよ」
「…なるほど、そうでございましたか」
「だから、君の耳に一応入れておいた方が良いかなと思ってね。
今回連絡したのもそれが理由だよ。
じゃあ、そろそろ切るね…また時間があるときに連絡するよ」
ナツメはそう言って通話を終えた。
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作者名:きょうちゃん | 作成日時:2020年3月31日 18時