141.ケット・シー ページ49
その後、フジとキキョウの持ってきたハンマーを使って岩を叩いた。
他のメンバーは滝の水を汲んで岩に掛け続けた。
岩は何とか上まで水が沁み渡ったように見えるが、これで叩き続けるのはかなりの体力を使う。
力に自信のあるひょうたやキキョウが中心にハンマーを使っていた。
気が付けば、もう夕日が沈みかけていた。
「…ああ、もうこんな時間なのね」
「岩は少しずつ柔らかくなってるような気がするぞ！」
「ええ、もっと大きめの道具があれば良かったのですが…」
「でもおかげで岩が脆くなろうとしているわ。
テツさんが心配するかしら」
「事情を説明して、もう少し作業をした方がいいんじゃない？」
フジが言った。
「テツさんならわかってくれそうだね」
サミーも頷いた。
「そうね、私一度寮に戻るわ」
ダリアは学生寮に向かおうとした。
するとこちらに向かってくる人物が居た。
黒いシルクハットを被った青い猫のような男性。
「…君たち、ここで何をしているんだ？」
「え、あなたは…？」
「あ、この人…この幽霊屋敷で家具を売ってるケット・シーさんだよ！
僕、たまに行ってるんだよ」
マシューが説明した。
「ああ…俺はここで秘密の家具を売ってるケット・シーだ。
ところで、この岩は一体…？」
ケット・シーさんは洞窟を塞ぐ岩に驚いた表情になった。
マシューが説明すると、ケット・シーさんは頷いた。
「そういうことか…今までこんなことはなかった。
…そういえば最近この辺りで見慣れない人が来ていたな」
「え、それって誰だろう？」
「黒い格好の女性だ。この町に最近来ているようだが…」
「ミスミが言っていたクロユリさんじゃない！
一体どうして…」
ダリア達は謎に包まれた。
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作者名：きょうちゃん | 作成日時：2019年2月28日 1時
