Juri side ページ11
台本を返すと、少し遠くを見ながら話を続けるAちゃん。
「樹くんに、高校卒業後どうするか聞かれたことあったでしょ？あの時、ちょうど私も悩んでて。
電話ではかっこいいこと言ったけど、私も正直、何していいかわかんなかったんだよね。
だから、樹くんの気持ちがすごくわかって。でもさ、どうやって励ませばいいかわかんなかったんだよね。
それで、私でも何か挑戦してみて、結果が出たら、ちょっとは一緒にがんばろっていえるかなって思って」
息継ぎを忘れたように一気に話すのを、ぼうっと聞く。
Aちゃんは、俺が落ち込んでる間にも、俺を励まそうとドラマのオーディションを受けまくってたってこと…？
「でもさ、めっちゃ大変だったの！
この半年、全部で30個は受けたかな。10個落ちたところで家で号泣してお兄ちゃんに慰められて、20個落ちたときにはさすがにやめようかと思った。
才能ないなーって。
でも、もうちょっとだけがんばってみようと思って、最後に受けたのが、これ」
前に進んでるAちゃんがとても遠い存在に見えて、
一人で落ち込んで何もしてなかった自分が恥ずかしくて、ぐっと握った拳を見つめる。
「あ、あのね。褒めてほしいわけでも、すごいねって言って欲しいわけでもないの。
ただ…樹くんに、夢を諦めてほしくなくて」
俺の様子を見て、懸命に弁解するAちゃん。
「樹くんのラップ、初めて聞いた時すごいなって思った。今までこんなにラップできるJr.っていなかったじゃない？
演技も歌もできて、しかも話回すのすごく上手いし、きっとこれからも活躍してくんだろうなって本気で思ってる。
だからこそ、この先のこと、あんまり悲観しないでほしくて。
…あ、もちろん、樹くんが嫌になったらやめてもいいと思うんだけど。
でも、まだやりたいって思ってるなら、…それなら、もうしばらく、一緒にがんばってみない？って言いたくて」
顔を上げた俺に、Aちゃんが優しく微笑んだ。
「ずっとがんばるのは大変だから、期限決めない？
5年後。それまでに、共演できるぐらい、お互いがんばる。どうかな？」
Aちゃんは、どうしてこうも、いつも俺の気持ちを軽くしてくれるんだろう。
どうしてこうも、弱い自分を強くしてくれるんだろう。
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紗々(プロフ) - スノ姫さん» ありがとうございます！コメントいただけて嬉しいです。続きも頑張って書きますので引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2021年9月23日 17時) (
レス) @page11 id: 836bb7a317 (このIDを非表示/違反報告)
スノ姫 - いい話しですね。兄に憧れてジャニーズに入ったり、モデルの事務所に入ったりといいですよね。続き待ってます (2021年9月22日 1時) (レス) @page1 id: 61c754dd4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紗々 | 作成日時：2021年9月21日 20時
