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21. ページ22

季節外れすぎる降雪に樋口さんが気を取られる

『…谷崎さんは?』

 いない。先刻までそこにいたはずなのに、消えた

「ボクの『細雪』は、雪の降る空間全てをスクリーンに変える」
「なに!」

「ボクの姿の上に背後の風景を上書きした…
 もうお前にボクの姿は見えない!」

 なるほど、異能力で姿を消せるのか

「姿は見えずとも、球は当たるはず!」

 樋口さんがいろんな方向に撃ってくるから

『うわああああ』

 少し後ろに下がなければいけない

『ッナオミちゃん!』

 視界の端に寝かされているのを見つけ、敦君と運ぶ

「大外れ」

「うぐ…ッあ…」

 いつの間にか樋口さんの背後に回り込んだ谷崎さんが、彼女の首を絞める

「死んでしまえ・・・!」

 その谷崎さんの背後に、誰かの気配を感じた。真逆、

ドサ

「死を惧れよ。殺しを惧れよ。死を望むもの、等しく死に、望まるるが故に・・・ゴホッ」


___此奴には遭うな。遭ったら逃げろ___

 谷崎さんが倒れた後ろ、見たことのある男が立っていた
 この男が、

「お初にお目にかかる。僕は芥川。そこな小娘と同じく、卑しきポートマフィアの狗―ゴホッ」

 ・・・この人、胸が悪いのかな
 途中、「人虎と龍は生け捕り」って聞こえたんだけど

 え、虎って敦君でしょ
 じゃあ、龍って、あたし?

「もとより僕らの目的は、貴様ら二人なのだ」
『じゃあ、あの二人は、巻き添えだって云いたいの?』
「然り。・・・羅生門」

 これは彼の異能か
 外套が黒獣になり、あたしと敦君の間すれすれを削った

「敦君…Aちゃん…逃げろ」

 谷崎さんの声が聞こえた。ナオミちゃんもまだ息がある

「Aちゃん、二人を見ていてほしい」
『何で、ってあっねえ!』

「うおおおお!!」

「玉砕か、詰まらぬ」

 敦君が突っ込んでいく。彼は彼なりに、考えがあるのか
 でも、マフィアの二人が気を取られている内に

『グレーテル』

クルルル、と一頭の小さな龍が現れた

『谷崎さん!』
「Aちゃん、逃げろ」

『お二人を放って逃げれませんよ』

 あたしの異能は、治癒能力を生命体として作ることもできる
 其れが「グレーテル」だ。

 龍が薬の花弁を散らす
 …よかった、応急処置はできた

 その時

「ぎ、ぎゃあああ!!」

 敦君が、脚を一本、喰われていた

 月を見ていないのに血が騒ぐ

 気づけばあたしは、龍に変わっていた

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作品ジャンル:恋愛
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菜種梅雨佐矢花(プロフ) - 公式LINE楽しみにしています。これからもう頑張ってください (2020年10月9日 21時) (レス) id: 495b618e4b (このIDを非表示/違反報告)
ユッカ(プロフ) - ありがとうございます!明日か明後日には更新しますのでよろしくお願いします!! (2019年8月15日 21時) (レス) id: 2a8d441004 (このIDを非表示/違反報告)
夏色炭酸水(プロフ) - とても面白いです!!これからも頑張ってください! (2019年8月15日 18時) (レス) id: 4b5d2ae9b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユッカ | 作成日時:2019年6月23日 14時

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