隣と隣の隣 (ページ6)

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再会ページ6

今日もよく働いたー！！と思いながら帰宅。

張り切って明日の準備をしたせいでいつもより少し遅くなり、現在19時半。

もう習慣になっているポストの確認も流れるように済ませて階段を上る。

玄関の前で家の鍵を取り出そうといつも鍵を入れている鞄のポケットを見るとあるはずの鍵がない。

え、うそ…？

落とした…？

いやいやそんなわけない…

自分のパンツのポケットにも入っていない。

そもそもそんなところに入れた覚えもない。

えぇ…

どこ…

？「こんばんは、どうしたんですか？」

突然声をかけられて、そちらを向くと、304の阿部さんだった。

「あ…こんばんは。」

304阿部「どうしたんですか？具合が悪いとか…？」

心配そうにそう聞いてくれる阿部さんに、今の私はそんな風に見えているのかと思いながら苦笑いをする。

「えっと…鍵が見つからなくて…。」

304阿部「え！？それは大変ですね！カバンの中とかはもう見られたんですよね？」

「はい、さっき。」

304阿部「僕もよく同じ感じで焦るんですけど、落ち着いて見てみたら鞄の底にあるってことが多くて…。」

確かに焦ってると見えてるものが見えなかったりすることもあるもんな…と思いながらもう一度鞄の中身を確認する。

「あ！あった！！」

ドリンクボトルの下敷きになっていたキーケースを取り出し、阿部さんを見ると今までで一番の笑顔で良かったですねと言われて少し恥ずかしくなった。

「あの…ありがとうございました。お出かけ前にすみません。」

304阿部「いえいえ、僕は何も。それに、出かけると言っても明日の朝ごはんを買い忘れてコンビニに行くところだっただけなので。」

僕もうっかりが多くて、と言う阿部さん。

では、と言う前に荷物を持ち直し、気付くエコバッグの中身。

「あ、あの…パン好きですか？」

304阿部「え…っと…はい、好きです。」

「良かったら貰ってくれませんか？」

エコバッグの中身が見えるように広げながらそう言う。