隣と隣の隣 (ページ23)

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こんなの絶対照に怒られるな…なんてことが頭をよぎる。
それでも照に連絡して助けてもらおうかな…と。

？「大丈夫ですか？」

聞いたことがある気がする声が聞こえて少し顔を上げる。
目を開けても視界はまだぼやけている。
？「Aさん！？」

驚いたような声でそう言って、私に駆け寄ってきてくれたのは亮平さんだった。

亮「大丈夫ですか？救急車呼びますか？」

「貧血を起こしてしまっただけなので…大丈夫です…。ありがとうございます。」

亮「帰るところですか？」

その問いに頷くとそれじゃあ、と亮平さんは自分の鞄をそっと道路に置いて、私が握り締めていたエコバッグを持ちますねと言って私の手から取り、そして私の前にしゃがみ込んだ。

亮「乗ってください。送ります。」

「え…でも…。」

亮「こんな暑いとこにいたんじゃ良くなるものもならないですよ。帰りましょ。」

申し訳なくてなかなか動けない私を見兼ねて、亮平さんはさらに私に近づき少し強引に、でも優しく私の手をとって自分の肩に触れさせた。

亮「こう見えても割と鍛えてるんで大丈夫ですよ。ね？帰りましょ？」

亮平さんにそこまで言われ、このままここにいてもダメだとわかっている私は、お言葉に甘えることにした。

「すみません。」

そう言いながらゆっくりと亮平さんの背中に身体を預ける。

立ちますね、と言いながら、ゆっくりと立ち上がった亮平さんは自分の鞄と私のエコバッグを持って歩き始めた。

視界もしっかり見えるようになり、さっきよりは気分も良くなった気がしてきた頃、家についた。
気を遣ってか家に着くまで何も話さずに送ってくれた亮平さんの背を降りる。

「本当にありがとうございました。」

亮「いえいえ、本当に大丈夫ですか？」

「はい、貧血気味なのはいつもなんですけど、今日はちょっと酷くて…本当に助かりました。」

亮「ゆっくり休んでくださいね？あ、そうだ、ちょっと待って下さいね。」

亮平さんはそう言って鞄の中からメモを取り出し、そこに何かを書き込む。

亮「これ、僕の連絡先です。何か困った時とか…連絡してもらえれば…あの、助けに行きます。」

良かったら…と控えめに差し出されたそれを受け取り、見てみると、電話番号とLINEのID。

「お気遣いありがとうございます。」

私がお礼を言うと、亮平さんはにっこりと笑ってそれじゃあまた、と隣の隣へ帰って行った。