隣と隣の隣 (ページ17)

今日:24 hit、昨日:17 hit、合計:105,473 hit

嬉しそうページ17

宮館君から、追加でパンを持ってきてくれないかと連絡があり、私は照にお店を任せて届けに行った。

お店に戻ると数人のお客様がいて、照はレジに立っていた。

照「Aおかえり！」

「ただいま。」

いつも接客中はにこにこしている照だけど、私におかえりと言った声も表情も、いつもより一段と機嫌が良さそうで、何かあったのかな？と思った。

「何か嬉しそうだね？」

閉店後、お客様がいなくなった店内で聞いてみる。

照「Aが舘さんとこ行ってる時にさ、たまたま友達が来てくれたんだよね。めちゃくちゃ久しぶりに会ったから嬉しくてさ！あ、そいつ前に俺の友達にも阿部っているよって言ってたその阿部なんだけどね。」

「へー！たまたま？照がここで働いてるの知らずに来てくれたの！？」

阿部という名前を聞いて、隣の隣の阿部さんだったりして…？なんて思ったけど、まさかね、と思い直す。

照「そうそう。だから俺もだけど、阿部もめっちゃびっくりしてた。」

店の片付けをしながらすごく嬉しそうに話してくれるから、なんだか私も嬉しくなる。

その後はいつも通り。

家に帰り、そう言えばゴミ捨て行かなきゃと思い、ごみをまとめてもう一度玄関を開ける。

亮「あ！Aさんこんばんは！」

後ろからそう言われて振り向けば、同じようにゴミ袋を持つ亮平さん。

「こんばんは。」

亮「あ、なんか馴れ馴れしく呼んじゃってすみません。」

「いえいえ、大丈夫ですよ。」

亮「苗字同じですし、名前でと思っちゃって。僕のことも名前で呼んでもらえると嬉しいです。」

そう言ってニコッと笑顔になる亮平さん。

何だろ…

えーと…

あ、そうだ。

あざとい…だ。

亮「あれ？あ、やっぱり馴れ馴れし過ぎました！？」

私が亮平さんのあざとさにぼーっとしてしまい、何も言わずにいると、亮平さんは焦ったようにそう言った。

「あ！いえ、違うんです！可愛いなって…ってあ、えっと…ごめんなさいっ…。」

可愛いとか言っちゃって、今度は私が焦る。

亮「ふふっ…なんかお互いに焦っちゃってちょっと笑えちゃいました。」

そう言う亮平さんに私もふふふっと笑ってしまう。

二人で笑いながらごみを捨てに行く途中、亮平さんが今日たまたま友達に会ったと話してくれた。

同じような話を照からも聞いていたから私はちょっと驚いたけど、亮平さんも照と同じくらい嬉しそうだったので、良かったですねと笑顔で伝えた。