隣と隣の隣 (ページ15)

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“エトワール”

マンションを出てすぐ、スマホで検索してみる。

玲奈さんが言った通り、そのパン屋は一番近いところにあるらしい。

亮「行ってみるか…。」

今日行ってみるパン屋が決まり、スマホで地図を見ながら歩き出す。

思ったよりも近くにあったそのパン屋は俺が毎日通勤で通っている道にあって、なぜ気付かなかったのかとちょっと驚く。

可愛らしい外観のお店だなと思いながら扉を開ける。

カランカランッ

小さすぎず大きすぎず、耳触りの良いドアベルの音を追いかけるようにいらっしゃいませと言う男性の声。

可愛らしいお店だけど、男性がやってるお店なのか…なんて思いながらトレーとトングを手に取り、パンを選ぼうと店内を見渡した。

照「あれ？阿部？」

そう言われ、顔をそちらに向けると、見覚えのある顔。

亮「え！照？」

照「やっぱ阿部だった！え、久しぶり！」

亮「久しぶりだね！元気だった？」

照「俺は元気だよ。阿部も元気そうで何よりだよ。」

まさかこんなところでかつての同級生に会うとは。

照とは高校の時の同級生で、よく一緒にいた友達。

俺が大学に進学して余裕がなくなって会うことは減ったけど、かつての仲良い友達グループラインが動けば俺も話には参加していた。

でもグループラインで仕事の話を詳しくすることってなかなか無いし、どんな仕事をしているかは知っていても職場までは知らなかった。

亮「照がパン屋してるってのは知ってたけど、ここだったんだね。え、ってことはここが舘さんの？」

照「そうそう、舘さんのレストランはここからはちょっと遠いけど、ここのオーナーは舘さんだよ。」

舘さんもグループラインに入っている一人。

亮「凄いよね。自分のレストランだけじゃなくパン屋のオーナーもって…。あ、じゃあ照はここの店長だったり？」

照「いや、俺は店長とかできねぇから。店長は今舘さんのレストランに追加でパンを配達中。」

亮「そうなんだ。」

照「もうすぐ戻ってくるとは思うんだけどな…。」

亮「そっか、あ、ねぇ何パンがオススメ？」