私の一日 ページ11
パン屋の朝は早い。
出来ることは営業後にするようにはしているけど、それでも美味しいパンを作るには当日の朝にした方が確実に良いこともたくさんあるわけで…
だから私の朝は早い。
起床は3時半。
二日に一度は起きたらすぐに洗濯機を回す。
洗濯が終わるまでに身なりを整え、朝ごはんを食べる。
外がうっすら明るくなってきた頃に洗濯を干し、4時半から5時の間に家を出る。
職場までは徒歩十分くらいだから五時前後にはいつも到着するんだけど…
「今日も負けた。」
照「あ、おはよ、A。」
「おはよう。ねぇ、照いつも早すぎるんだけど！一回も勝てたことない！」
照「勝ち負けじゃないだろ。」
まぁそうだけど…って言いながら仕事着に着替え、調理場に戻りがてら今日使う分の強力粉を運ぼうとする。
照「A、それ俺が運ぶから。」
「え？私だってこれくらい運べるよ！」
照「良いから。」
照はいつも力仕事を率先してやってくれる。
と言うか、私に力仕事をほとんどさせてくれない。
照「こういうのもいいトレーニングになるんだよ。」
トレーニングオタクの照はいつもそう言う。
そんな照と何種類ものパンを焼く。
カランカランッとオープン前にドアベルの音が鳴る。
「あ！オーナー！おはようございます！」
？「おはようAちゃん。オーナーはやめてっていつも言ってるのに。」
そう言って笑うのはこのお店のオーナーの宮館涼太君。
「ふふふっ。わざとだもん。」
涼「いつもいつもAちゃんは意地悪だな。」
優しい笑顔の宮館君は自分でもフレンチレストランをやっていて、そこに私が就職したのが出会い。
昔からパンを作るのが好きだったと話した私にパンを焼くのを任せてくれて、その結果気に入ってくれて、レストランが大盛況になったからと次は私のパン屋さんを開きたいと言ってくれた。
宮館君のレストランでは変わらず私のパンを使ってくれていて、毎日こうしてパンを取りに来てくれる。
照「舘さんおはよう。」
「お、照おはよう。」
照と宮館君は高校の同級生で、その関係でこのお店で一緒に働くことになった。
二人で楽し気に話しているのを見ながら開店準備をし、宮館君が帰ってから照と店を開ける。
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作者名：柊李 | 作成日時：2022年7月26日 1時
