29. ページ29
一緒に取っている授業が終わって、昼飯前。
鞄をゴソゴソ漁る健を横目に、
「今日なにたべるー？食堂飽きたし他行くー？」
なんて呑気なことを言っていた私。
「……なぁ何をそんなに探してるん」
さっきからガサガサゴソゴソうるさいねん。
小島「…あった」
少し折り曲がったクリアファイルから取り出されたのは、Summer Special 2021の公演のチラシ。
小島「非売品。あげるわ」
驚きすぎて、何にも言われへん。
ペラっと渡されたそれにどれだけの価値があるか、この人わかってるん…？
何も言えずに固まっていると、
小島「見て、俺真ん中」
紙の上の健と自分を交互に指差しながら、ニコニコ笑ってる。
「…………ほんまやな。」
小島「ほんで、隣は誠也くん」
………もしかして全員分説明するつもり？
そう思ったけど、どうやら違ったらしい。
小島「流石に松竹座やったら俺も見つけられんで、Aのこと」
「………………ん？」
小島「来るやろ？自分でチケット取って」
何を言い始めたのかよくわからない。
やけど、血の気が引いてきていることはわかる。
そんな私を見て、
小島「そんな怖い顔せんでも平気やって(笑)」
顔色悪すぎ、と笑った健が、黙ってしまった私の代わりに言葉を続ける。
小島「俺、Aが関ジュのファンやってこと知ってたで」
放たれた言葉は衝撃的だった。
「…………は？うそやん。え、いつから？」
小島「最初から。出会った時からやで。
誠也くんが推しなのも知ってた」
「はぁ！？なんで言わんかったん？」
小島「ええ、そんなでかい声出す？
Aがなんにも言ってこうへんかったから。
俺も関ジュやねんでー、って言うたらファンやってこと言うてくるかなぁ、思ったけどなにも言われへんかったし」
……まさか、そんなことありえへん。
今までの会話や自分の行動を思い出して、余計に寒気がしてきた。
ていうかこいつ、そんな奴に大晴紹介したり、仲良くさせてたんまぁまぁ問題やろ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 830人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひのりーる(プロフ) - ナナさん» 嬉しいお言葉が心に沁みます……毎日読んでくださって本当にありがとうございます。 (2022年9月21日 22時) (
レス) id: 334deb90dd (このIDを非表示/違反報告)
ひのりーる(プロフ) - oshige127さん» こじけんがこうであったら良いなぁと希望を込めて言葉を選んでいるので、そう言っていただけて本当に嬉しいです。こちらこそ出会ってくださってありがとうございます！最後までお付き合い頂けたら幸いです。 (2022年9月21日 22時) (レス) id: 334deb90dd (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - このお話の続きを読むのが毎日一番の楽しみです！天才です… (2022年9月21日 2時) (レス) @page32 id: 892d07a4d6 (このIDを非表示/違反報告)
oshige127(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。ほんとに小島くんらしさが存分に出てて胸がぎゅーってなってしまいます。ほんとに素敵なお話に出会えて嬉しいです！ (2022年9月20日 23時) (レス) @page32 id: c6522ef373 (このIDを非表示/違反報告)
ひのりーる(プロフ) - kkさん» 他の作品も読んでいただけているなんて…嬉しいコメントに感無量です。コメント頂いた直後にまた展開を進めてしまったのですが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。 (2022年9月20日 0時) (レス) id: 334deb90dd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひのりーる
| 作成日時：2022年8月30日 17時
