102号室 ページ2
外に出ると、雨粒がすぐにスニーカーを濡らしていく。
近くのスーパーまでは歩いて10分ほどかかる。
暗い夜道を歩く。この辺は都内でも少し明かりが少ない。
よく、女子供は夜に外に出ないようになんて言われるけど産まれてこのかた不審者なんてものにあったことはない。
が、今日がその日だったようだ。
前方にいる男、フードを深く被ってこんな雨の中傘もささず、電柱に向かってブツブツとなにか呟いている。
確実にやばい。遠回りになるけど、迂回するしかない。
気づかれないようにゆっくりと後ろを振りかえろうとすると、足に何かが当たる。
カツン、と音を立てて缶が転がった。
男はゆっくりとこちらを振り返る。
目が合った瞬間、全身にゾクリと寒気が走り、本能的に全速力で今来た道を引き返す。
『……っ、やば』
後ろを見ると、やはり不審者は全速力で追ってきている。
捕まったらなにをされるかは容易に想像できた。
最悪の事態を想定して泣きそうになる。
どうにかして振り切りたいが、小中高のかけっこで下位ばっかとってきた運動音痴の私だ。
全速力で走るも、その差は縮まり、とうとう捕まってしまう。
『……やだっ……やめ……』
こんな事なら文化部じゃなくて運動部に入っとけばよかった、過去の自分を恨む。
ふと、家で待っている小さいあの子のことが脳裏によぎった。
ここで私がいなくなったらどうやって生きていけというのか。
精一杯の力をこめてもがくが、相手は男。
力が強くてとても逃げれる感じじゃなかった。
もうだめだ
そう諦めた時
「……クソが……痴話喧嘩ならよそでやれや」
いつだってヒーローは助けて欲しい人のところにやってくる。
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JILL(プロフ) - 紺。＠水分補給さん» コメントありがとうございます。今週末頑張って更新しようと思いますのでまた見に来てください。 (2021年9月29日 1時) (
レス) id: 974b1e0c8b (このIDを非表示/違反報告)
紺。＠水分補給(プロフ) - めちゃ面白いです！めちゃめちゃきゅんきゅんしました！無理のない範囲で更新頑張ってください！！応援してます！ (2021年9月23日 12時) (レス) @page14 id: 8be1c911bb (このIDを非表示/違反報告)
JILL(プロフ) - 今夜、1.2話更新予定です。 (2021年9月16日 14時) (レス) id: 974b1e0c8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：JILL | 作成日時：2021年9月16日 14時
