２−１０ ページ21
翔ちゃんのお皿には、目玉焼きが二つ。
俺も二つ。
でも、翔ちゃんの目玉焼きは二つとも焦げていた。
「翔ちゃん、いいの？」
「さあ、召し上がれ」
「そうじゃなくて、それ」
俺は焦げた目玉焼きを指差す。
俺のせいでもあるし。
「いいんだよ。今回は雅紀をおもてなしするって決めたんだから」
「おもてなし？」
「今まで雅紀に散々甘えてきたからさ。雅紀が俺を受け入れてくれて、感謝してる」
「翔ちゃん」
「だからさ。そんな感謝も含め、雅紀をおもてなししようと思ったの！食べて」
「うん」
一口食べる。
翔ちゃんが作ってくれた、ってだけで嬉しい。
味はまあまあだけど。
「おいしい」
「雅紀が作ってくれた方が美味い」
翔ちゃんも食べて、ちょっとふてくされてる。
俺が作るのも、そんなに変わらないと思うけど。
「人が作ってくれたのっておいしいよ。特に、大好きな人が作ってくれたのは、ね」
「そうか」
翔ちゃんを見ながら言うと、翔ちゃんが照れた。
本当に翔ちゃんは可愛い。
そんな事を思っていたら。
「・・・雅紀、俺のおもてなしはまだ終わってないよ」
「え？」
「まだ、今日は長い。とことんおもてなししてやるよ」
何だろう。
翔ちゃんの笑顔がすっごく怖い。
「雅紀、食べてよ」
「う、うん」
キラリと光る瞳が、何だか俺をもてなすと言うより・・・。
「俺も早く食べて、雅紀を・・・」
その含みのある言い方は何？
俺を見る翔ちゃんが、俺と同じ事を考えてそうで。
これからの事を考えると、唇が尖ってくる。
でも翔ちゃんは上機嫌で。
「ん？雅紀キスして欲しいの？」
違うよ！
俺はこの翔ちゃんをどういうふうにかわそうか、考えながら目玉焼きを食べた。
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作者名：佐音 芽衣 | 作成日時：2014年7月17日 22時
