第19話 ページ20
少女はベットに座っていた。
特にやることもなく、暇である。今日は何をしようかと思い、とりあえずベッドから降りることにした。
その時、部屋の外から何かの気配がした。
少女は惑わずにドアを開ける。
そこには何もいなかった。が、少女はそれが当たり前だとでもいうように“何か”に話しかける。
「あら、貴方の方からこちらに来るなんて珍しいですね」
確かに誰もいないはずなのだが、そこから声が聞こえてくる。
「そりゃそうだ。こんな緊急事態初めてだからな」
その声は低めで口調も男らしいが、かろうじて女だとわかる。
「そうね。貴方が焦るのも分かります」
少女はあくまでも落ち着きはらって言う。
「それなら話が早い。俺の言いたいこと、わかるよな?」
「えぇ。もちろん」
女は黙る。まるで少女の返答を待っているような沈黙だ。
少女はおもむろに口を開く。
「…許可するわ」
女が彼女に近づいていった雰囲気がする。そして少女の額に手を当てる気配。
一気に少女の服装は変わる。
先ほどまでは制服だったはずなのだが、いつの間にか動きやすいものに変わっている。
「最初はお前のふりをしていればいいんだろ?」
「えぇ。適当なところで貴方に変わればいいわ」
「そりゃどうも。頭脳的なところではお前に戻るか?」
「もちろんよ。私も準備しておく」
それ以上の会話はなかった。少女は再びベッドに座った。
──先ほどまでの暇そうな彼女はどこへやら。どこか楽しそうに座っていた。
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一月鈴華(プロフ) - 更新早い…。頑張ってください。面白かったです。 (2018年11月16日 13時) (レス) id: c26eb87106 (このIDを非表示/違反報告)
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