恋の切り札 【剣短編】

最後に君のぬくもりを感じたい【睦月】 ページ46

「好きですAさん。」

ずっと告げたかったこの思い

振られるのはわかってる
だってAさんが好きなのは…あの人。
だけど伝えたかった。
「貴女が好きだ」と
このままこの気持ちを抑えては生きていけない
ただ辛くなるだけだから
だからもういっそ

告げてしまおう


そう決めた


Aは切なげな表情をし
うつむく


もうここでわかった。

振られる


言わなきゃよかった


でも後悔してももう遅い。

振るなら振ってくださいAさん。

俺もう覚悟はできてますから



目を閉じ返事を待つ
するとAはゆっくりと口を開き
睦月にこう告げた


「ごめん。」









…


ああ、やっぱり




振られた。









「睦月君の気持ち…受け取れない」







そりゃあ受け取れませんよね


ああ

辛い


泣きそうだ







睦月はうつむいた顔をゆっくりあげて
ニッコリと笑った

「大丈夫です、わかってました。こうなること…だってAさんが好きなのはあの人ですもんね。」

「…！睦月君…」


「ああ、スッキリした！気持ち伝えられてよかったです…。」


夜空を見上げて
切なげな表情を浮かべ今にも泣きそうな顔をしていた

「…睦月く「Aさん。」えっ」

腕を引かれ睦月の腕の中へ
引き寄せられ抱きしめられた

「む、つき……く…ん？」

「…ごめんなさい、Aさん…。…少しだけ…少しだけで良いんです。このままでいさせてください…」


睦月の言葉にAは
ゆっくり目を閉じ抱きしめ返した

最後のキスはひどく冷たくて【始】→←幸せ家族【終】

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