恋の切り札【剣 短編２】

旅をしよう【剣崎】※子供がいます。 ページ22

「待ってパパー！」

「ほら、早くしないと置いてくぞー」

愛用のバイク、ブルースペイダーを
ひきながら必死についてくる我が子を見ながら
歩く、剣崎一真

「もう、早いよー…。俺疲れた…」

むう、と拗ねた表情浮かべ
その場に座り込んだ

そんな姿を見た剣崎は小さく笑いため息をつきながらバイクを止めた

「ほら、あともう少しだから頑張ろう？な、始明(はじめ)。」

座り込む始明に
手を伸ばす

「……うん。」

小さな手を伸ばし
始明は父一真の手を握り

そして
二人は再び歩き出した


「ねえ、パパ。次はどこへ行くの？」

「うーん、そうだなぁ。…どこだろうな？」

ニコニコと始明に笑みを向け
澄み渡る青い空を見つめた

その姿を見て始明は首を傾げ歩く

「…始明はどこに行きたい？」

「……うーん…。」

「まだわかんないか」

こんなこと聞いてもまだ小さい始明には
わからないか。

「…どこかって指定するのは難しいから行ける場所いっぱい行きたい！パパと」

予想外の答えに
剣崎は驚いた顔をしたがすぐに笑みを浮かべ
始明の頭を撫でた

「そっか…。じゃあ、行けるとこまで行くか！」

「うん！…あ、でもあんまり遠くには行きたくないなあ…」

「何でだ？」

「だってママや真愛に会えないし…。」

母親のAと
双子の姉 真愛(あい)のことを思い出し
しょんぼりする始明に剣崎は
口を開いた

「…大丈夫だよ。遠くに行っても会いに行けるからだから安心しろ」

「本当？」

「あぁ。」

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