寒気で愛を編む人［JH］ ページ31
電車を降りると通り過ぎていく冷たい風に思わずマフラーに鼻まで埋めて肩を上げる
寒いな、、、今年も秋がほとんど無かった気がする
全ての季節の中で秋服が1番好きだ。なのに最近出番がなくて寂しくて、この気温にしては薄い服装で家を出たりしてみたけど帰り道には必ず後悔する。でもせっかく買ったし一度は着ておきたい
マフラー持ってて良かった。
改札を出て本格的に外に出ると寒さが増して帰るのでさえ嫌になる。
どうせ明日も朝から仕事に行くんだし、その辺のホテルに泊まってしまおうか
徒歩10分の距離だとしても我慢できない
そんな考えが浮かびながら財布の中身を想像すると到底夢の話で実現は難しそう
それでも名残惜しくて駅から1番近いホテルに目を向けていると、ふわりと肩に暖かい何かが乗ってきた。
「うちにそんな余裕ないですよ、お姉さん」
その低くて甘い声の主を私は良く知っている
朝、家を出た時ぶりに聞いた声に未だに心臓が跳ねるから困ったものだ。もうその声を1番近くで聞き続けて数年が経つというのに
『ジェヒョン、迎えに来てくれたの?』
「うん、朝出る時に薄着だったから帰るのが嫌になってるんじゃないかと思って」
上着持ってきたよ。髪切ったの？可愛いね
綺麗に作り込まれた手は私の髪を滑って冷えているだろう鼻先をちょんっと触る
トレードマークのエクボを最大限にへこませて覗き込んでくる頬と鼻は赤い
『いつから待ってたの?』
今日は美容院終わりに友達と会って夜ご飯を食べていたから帰る時間を特に伝えていなかった。
いつも改札を出て家までの道のりで連絡するから、今日はまだ連絡してないのに
「んー？ふふ、うん。ちょっと長く待ったね」
恥ずかしそうにモコモコに巻かれたマフラーに口元を隠すジェヒョンはいつもの部屋着にアウターを羽織っている
そんな姿なのに様になってるから私の彼は本当に不思議な人だ。
『ごめんね、よかったのに』
私のわがままで薄着をしてきたのにジェヒョンが風邪ひいちゃうね。
フワフワと跳ねるセットされていない毛玉のような頭に触れたくて手を伸ばすと、当たり前のように屈んで頭を差し出してくるから可愛くて仕方ない。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 731人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ともともも(プロフ) - メリッサさん» ありがとうございます！似たような雰囲気の話ばかりになっていて悩んでいたのですごく嬉しいです、普通に泣いてます。これからも頑張ります！ (2022年12月20日 14時) (
レス) id: 01f45e17e6 (このIDを非表示/違反報告)
メリッサ(プロフ) - ともとももさんの書かれる細かくて優しくて、その場面が思い浮かぶ文がとっても好きです！ (2022年12月11日 2時) (レス) @page30 id: 078328f077 (このIDを非表示/違反報告)
ともともも(プロフ) - moon_shineさん» いつもコメントありがとうございます。最早我々の中では季語に認定されてますよね（）どんどん寒くなって行くのでこれからの黄仁俊が楽しみで仕方ありません（涎） (2022年10月26日 0時) (レス) @page13 id: 01f45e17e6 (このIDを非表示/違反報告)
moon_shine(プロフ) - 冬の黄仁俊は季語になってもおかしくない。私も昨日のロンジュンにやられました。ともとももさん、いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2022年10月15日 7時) (レス) @page7 id: db76fff5c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ともともも | 作成日時：2022年10月15日 1時
