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『はぁ、寒い』
陽がある時間は暖かいからとマフラーを持ってこなかったけど風が強い今日は天気予報の気温とは違って身を縮めるほどに空気が冷たい気がする。
ちゃんと読めばよかったな、と数字だけで判断した今朝の自分を呪いながらエントランスを抜けて駅へと向かうと少し先に見慣れた懐かしい姿に思わず声が漏れてしまった。
『ろんじゅん、、？』
小さく落とされた音を拾ったのかスマホを見ていたはずの彼は、何かに反応したように顔を上げて読めない無表情のままこちらに向かってきた。
お互い何も言わずに両手をポケットに入れたまま目の前まで来た彼の顔はマスクで隠されているけど、その目は真っ直ぐに私を見つめていて
その目に怖くなって目線を下げたいのに、そう出来ないのは久しぶりに見た彼を一瞬足りとも見逃したくなかったからで。会わないうちに伸びた前髪に触れようとする手を無理やり押さえつけて強く握り締めた。
「、、、よっ」
少し掠れた声は上から降ってきて、消える
その儚さに彼がどうしてここに来たのか、何を言いたくて会いに来たのか。悪いことばかりが想像させられて苦しくなった。
『、、、どうしたの』
「ん、とりあえず家まで送る」
目的を教えてくれないまま背を向けて歩き出したロンジュンに呼吸が上手くできなくて足が地面に貼り付けられたような感覚だった。
1番悪い想像に向かって歩いて行くようで怖くて仕方ない。
「、、、？A？」
少しして振り向いたロンジュンは相変わらずポケットに手を入れたまま振り返り私の名前を呼ぶ
その声が何かを期待してしまうほどに暖かくて、何重に着込んでも、お風呂に長時間浸かっても、毛布を重ねた布団に入っても、どうしても暖まらなかった場所に入り込んできて包み込んでくるから我慢していた涙が溢れてしまった。
それを指先で拭って彼の元に足を踏み出す。
きっと今、彼が近づいてきてコレを拭ってくれるのを待っていたら私達は終わりな気がしてならなかったから
最寄駅までの時間は30分程あったはずなのにそれまで私達は言葉を交わさなかった。前までは当たり前のように重ねられていた手も離れ離れで、今の状況なのだから普通なのにそれが妙に切なくて
満員電車で彼にもたれ掛かれるチャンスは無いかなと思ってみたりしたけど、そんなに世の中甘くない。椅子には座れなかったけど余裕のある車内の空間は今の私達にはお似合いだった。
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ともともも(プロフ) - メリッサさん» ありがとうございます！似たような雰囲気の話ばかりになっていて悩んでいたのですごく嬉しいです、普通に泣いてます。これからも頑張ります！ (2022年12月20日 14時) (
レス) id: 01f45e17e6 (このIDを非表示/違反報告)
メリッサ(プロフ) - ともとももさんの書かれる細かくて優しくて、その場面が思い浮かぶ文がとっても好きです！ (2022年12月11日 2時) (レス) @page30 id: 078328f077 (このIDを非表示/違反報告)
ともともも(プロフ) - moon_shineさん» いつもコメントありがとうございます。最早我々の中では季語に認定されてますよね（）どんどん寒くなって行くのでこれからの黄仁俊が楽しみで仕方ありません（涎） (2022年10月26日 0時) (レス) @page13 id: 01f45e17e6 (このIDを非表示/違反報告)
moon_shine(プロフ) - 冬の黄仁俊は季語になってもおかしくない。私も昨日のロンジュンにやられました。ともとももさん、いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2022年10月15日 7時) (レス) @page7 id: db76fff5c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ともともも | 作成日時：2022年10月15日 1時
