2.出会い ページ3
「ふぁ〜……あーあ、配信してたらこんな時間かぁ」
時計を見れば時刻は午後23時。
ゲームは2時間程度で終わって、配信もとじたところ。
机の上に置いたコップに手を伸ばしてジュースを飲み干すと、なんだかお腹が空いているような気がしてきた。
でもあいにく、うちの冷蔵庫にはすぐに食べられるようなものが入っていない。
「うーん、夜遅いけどコンビニになにか買いにいこうかな」
部屋着をかるく着替えてから、財布と携帯だけ持って家を出る。
冬の夜だから、外の空気はさすがに寒かった。数分歩くだけとはいえ、もう少し着込んできたらよかったかなとちょっとだけ後悔する。
急ぎ足で近所のコンビニへ向かい、明かりのまぶしい店内に入った。
「うー、さむいさむい」
寒さで縮こまった体をさすりながら、カゴをひっつかむ。
カップラーメンとかレトルト食品、それとお菓子をカゴの中にぽいぽいと放り投げて、ささっとレジに並んで会計をすませる。
商品が入った袋を受け取り、かるく会釈。
店員さんの「ありがとうございました〜」という声を流して店内から出ようとした、そのときだった。
「お前にはかんけーねぇだろ!」
自動ドアをくぐって外に踏み出したと同時に、男の人の荒らげた声が響く。
何があったのかと声の出どころに目をやろうとすれば、横から飛んできた誰かの背中と思いっきりぶつかった。あまりの勢いに私の体ごとふっとばされて、そのまま地面に倒れ込む。
「おい、やりすぎだって」
「し、知らねーよ。行くぞ!」
叫んでいたと思わしき男たちが、ばたばたとどこかへ走り去る。当の私はといえば、地面に尻もちをつきながら痛みで涙目になっていた。
「いったぁ……」
「あの、大丈夫!?」
痛みに耐えかねていると、突然上から声が降ってきた。
見上げると、緑髪のお兄さんがこちらを心配そうに覗き込んでいた。さっきぶつかった人だろうか。よくよく見ると顔が整っていてかっこいい。
私は急いで立ち上がり、なんでもないような顔で答える。
「だ、大丈夫です!って言っても、ちょっと手を擦りむいちゃったかもですけど」
「えっ、ごめんね!俺がぶつかったせいだ、本当にごめん」
「いやいや、気にしないでください。というか、さっきの人たちどうしたんですか?」
私がそう聞くと、お兄さんは困ったような顔で笑った。
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作者名:うみうし | 作成日時:2023年12月17日 22時