1.ひとりぼっち ページ2
どうもこんばんは、Aで〜す!
さて、突然ですが私は今どこにいるでしょ〜うか!
おなじみのテンションで自己紹介をすれば、画面には「はいはい日本だね」「どうせ地球の上とか言うんでしょ?」と温度差の強いコメントが流れ始める。
いつもの流れを完全に把握した視聴者の言葉に、私はふふん、と自信ありげな声をもらす。
「残念!正解は駅の中でした〜〜!」
楠木(くすのき) A、年齢不詳の女子。
YouTubeで実名を使って配信をしているAというのは私のことで、それなりのゲーム実況者。
高校の頃から1人で動画投稿を続けていて、チャンネル登録者数は先日でついに10万人を超えた。
そして今は、最近流行りの駅から脱出するゲームを配信中。
「あはは、いつもの流れじゃなくてごめんね〜。てかゲーム開いたらいきなりこの画面なんだけど!何したらいいの!?これ」
パソコンの前で1人リアクションをとり続ける。
YouTuberになったきっかけは、リアルが充実していないから。
私にはなんとなく空気を読んで一緒にいるような友達しかいないし、恋人もいない。なんなら出会いもない!
こんな人生やってられるか!ということで始めたのが、インターネットでの現実逃避。
学校を卒業したあとは働き始めたけど、人間関係のことですぐにやめた。お金は配信をやってたらスパチャで稼げるから大丈夫。だから今は無理して外に出る必要もない。
でも正直なことを言うと、一人暮らしだからちょっと寂しい。
一緒に遊ぶ友達もいないから完全に孤独だった。
動画投稿をしていたってこれからの生活は不安だし、再生数も伸び続けるとは限らない。
このままじゃいけないとはわかっていても、人と関わるのはまだ少し怖いと感じる自分がいる。
(あー、嫌なこと考えないようにしなきゃ……)
意識を画面の中に集中させて、手元のキーボードをたたく。
私の居場所はここにしかないのかもしれないとか、そんなことを心の中で思っていた。
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作者名:うみうし | 作成日時:2023年12月17日 22時