チューベローズを嗅ぎ寄せるラベンダー (ページ9)

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匂いページ9

準備した後、感覚でもうええかなと思うて、脱衣所で服を脱ぎ、浴室のドアを開けた。

そこには泉で水浴びをしとるヒューラスがおって目を疑った。

「どうしたん？兄ちゃん」

その声にハッとすると、シャワーを浴びながら黒髪をオールバックに流しとるキオが人懐こく笑っとった。

綺麗やと、思うた……純粋に。

男同士って何回かあるけど、もうなんか……アカン。

オスの匂いがむっちゃする。

「この匂い、イヤ？」

その言葉にドキッとしたけど、(7)そんなことないで……と平静を装いながら言うた。

「良かった……僕、ラベンダーの香りめっちゃ好きやねん」

……ラベンダー？

頭にクエスチョンマークを浮かべながら辺りを見回すと、紫がかった水の色が目に入り、ふわっと香りが鼻を掠めた。

「ええなぁ、なんか落ち着く」

「そうやんなぁ……」

んふふっと笑うたキオは変わっとらんはずやのに、キュンとした。

髪を洗ってあげとる時も背中を洗いあっとる時も綺麗に、丁寧にって思うてやっとった。

くすぐったそうな声としぐさをするキオを見守るような感じで見て……どうしたんやろ、俺。