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櫻井さんは考え込むように視線を逸らした後何かに気が付いたようにハッと顔を上げた。
「ち、違います！ないです！あのプロフィールシートはもう必要なくなったので！」
なぜかやたらと慌てながら櫻井さんが立ち上がった。
つかつかとこちらへ歩み寄るとカウンターにタンと手をついて私の顔を見る。
「本当に、あれは気にしないでください！」
「は、はい……わかりました……」
櫻井さんの勢いに驚きながら私はとりあえず頷く。
櫻井さんはうなだれるようにして首を落とした。
その耳が微かに赤くなっている気がして私は目を瞬かせる。
「その、結婚なんて別に……いや、したいとは思ってますけど、相手は希望があるっていうか、えっとそうじゃなくて」
櫻井さんは動転したように言いながら頭を掻く。
「あーっ、とにかく！うちの婚活プランを試したりする気は全くないので、安心してください。いや、安心してって俺が言うのも変ですけど」
「……わかりました」
櫻井さんの慌てように私の方が逆に冷静になってしまって、つい笑みを浮かべながら言ったら恥ずかしそうに視線を彷徨わせていた櫻井さんと目が合った。
「あの……信じてもらえました？」
「はい。よくわかりました。お仕事が忙しくなるだけですよね」
「はい、そうです。それだけです！」
櫻井さんはほっとしたように息を吐いた。
「じゃあ……俺仕事に戻ります」
「すみませんでした邪魔をして」
「そんな、全然。誤解とけてよかったです」
櫻井さんはそう言って椅子に戻っていった。
私も櫻井さんから視線を逸らす様にして料理を再開する。
でも……。
手を動かしながら私は櫻井さんが口走った言葉が引っかかっていた。
“いや、したいとは思ってますけど、相手は希望があるっていうか、”
相手……見つかったのかな。
櫻井さんが結婚したいと思っているお相手なんて誰だろう。
例えば、いつだか電話がかかってきた女性とか？
櫻井さんがお見合いはしないと分かってほっとしたのもつかの間、私の頭の中には別の靄が浮かんでしまってすぐには晴れそうもなかったのだった。
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iCHiKA(プロフ) - のりさん» はじめまして！まだなんですよ〜、今しばしやきもきしてください。甘沈以来なんとなく使い続けている言い回しですが、実際〇〇の部分のために組んだお話だったりもして、意外としっくり来てたりするもので。まさか気に入ってくださる方がいるとはとても嬉しいです。 (2021年4月17日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - shiさん» ようやくいいところまで言ったんですがね、あとちょっとお預けです。移行先では新たな展開なので、もうしばらくやきもきしてもらえたらと思います！ (2021年4月17日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - こんばんは。まだ言わないんですか！？と思わず声に出してしまったことだけをお伝えしたく初めてコメさせて頂きました。初コメの勢いで、こちらも他のお話でも『○○したいだけのお話です』という行が好きです。という告白もさせて頂きます。 (2021年4月15日 21時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - こんばんは！！翔さんいい所まで言いましたね(^^♪ ヤキモキしながら見守りたいと思います！！移行楽しみにしています(^^) (2021年4月15日 21時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - きーちゃんさん» はじめまして、コメントありがとうございます。きゅんきゅんしていただけましたか？そのお言葉がとても嬉しいです！Sさんが格好良く映っているようでしたら光栄に思います。 (2021年4月13日 21時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年3月2日 14時
