君の笑顔 ページ12
「きりーつ、れーい、さよーならー」
「きーつけて帰れよー」
日直の号令で一気に教室は動物園へとなる。
「ねぇねぇ、今日、近藤さんたちと一緒に遊びに行かない?」
そう妙が神楽に話しかけるのを沖田は近藤の席から見ていた。
「ゴメンアル。今日は大切な用事があって……」
「大丈夫よ。また遊びましょうね」
神楽は急いで教室を出て行った。
神楽が遊びに来ないのは初めてだった。楽しいのは楽しいのだが、何かが物足りなかった。
二時間ほどで解散し、沖田は一人で歩いていた。
色とりどりの車で溢れかえっている道路は、とても騒がしい。一台の見覚えのある白い車が沖田の横を通る。ふと、見ると中には銀と桃が飛び込んでくる。その車は銀八の車だ。隣に座っているのは、笑顔の神楽だった。
_______________なんだ
元々俺が入る隙なんて無かったのだ。
大好きな曲も聞かず、ただ、町が出す雑音に耳を傾けて歩いた。
昨日は、一睡もできなかった。
寝ようとしても、彼女が銀八と笑っている姿が頭のなかでぐるぐるぐるぐる。
「おはようアル」
「あぁ……」
なぜか神楽の顔を直視できなかった。
アイツの一番の頼りは自分だと思っていた自分がバカバカしくてたまらない。
「サド」
「サド!」
「サードー!」
神楽が何度も話しかけてくれたが、沖田は聞こえないふりをしつけた。
別に、何か嫌がらせをされた訳でもない。でも、彼女の声を聞く度、顔を見る度、銀八と楽しそうに笑っている顔を思い出す。
胸が、ギュッとなって、苦しい。
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作者名:なちょ | 作成日時:2018年10月15日 21時