【悪役令嬢】私シンデレラの姉なんですけど【ならぬ悪役姉】

ありす・くうぉーつさんはにんげんこくほうでした ページ38

「その美貌と透き通った綺麗な声。パール色の絹のような髪の毛にローズクオーツのような瞳。僕は写真でしか見たことないけど、かわいかったなぁ･･･」



ｸﾞｼｬｯ



私の中で何かが潰れる音がする。やっぱり私って主人公じゃないんだ。



「俺会ったことあるぜ！なんかいい匂いした！」



「可愛いよな･･･」



私は意地悪そうな顔としゃがれたハスキーボイス。真っ黒で魔女みたいな髪の毛に嫉妬に満ちたような緑の瞳。写真なんか撮られたことない。羨ましいな･･･



ノアとレオとチャールズがアリスさんの話で盛り上がる中、私はひとり、楽しく乗っていた列車に置いていかれたような気分になった。



──────────



「ドリゼラ」



『んっ！？』



飽きたから猫で遊んでいたらしいフィリップとアナスタシアの元に体を向けると、暖かいものが私の顔面にもふりと触れた



「みゃ」



『A･･･』



Aのお腹だった。ふにゃふにゃしてて、私の肩の上に乗ったAは愛くるしい。



よく聞けば、Aも私と同じハスキーな鳴き声。



「もう懐いてるね〜、よかったよかった」



「ねえちゃんは動物に愛される才能があるんだよー！きっと！」



『そう？だったらなんか嬉しいね』



安心する。



「ねぇ、ドリゼラ」



『ん？』



「･･･ごめん。やっぱなんでもない。」



何かを言いかけて、珍しくフィリップが目をそらす。へぇ、ほんと珍しい。



『そう？ならいいけど･･･』



Aを撫でる。そういえばユナは今何してるんだろうな･･･



──────────



「言えないなー･･･」



フィリップの心の内なんて。考えなかった。

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