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さてと、中尾君を2階に下ろし、再び私の目の前に立つ先生。作業机に寄りかかる。支えるように置かれた手の平の下に挟まれるようにしてあるのは例のスケッチブック。できれば早く返して欲しいものだが、そうは行きそうに無かった。
｢昨日一日で描いたにしては量が多いな。それに模写だけじゃなく、お前と一緒に行った覚えのない桜並木を背景に持つ絵もある｣
『先生が言ったんじゃないですか、"想像力を働かせろ"って。私はただ、先生がここに居たらきっとこんなふうに笑うんだろうな、って考えながら心に映る映像を具現化したまでです』
またスケッチブックを開きパラパラと捲り、流す様に見ているが視線はそれに注がれたままぶれない。お前の想像力には感服だな、なんて笑いながら返してくれた。
頭にぽんと置かれたそれを、若干子供扱いされた悔やみから先生の手からサッと攫うように奪う。大人な彼はそんな事に構いはしなかった。
モニター机に戻りお茶か水かを飲む彼と、包帯お揃いだ、なんてどうでもいい事を考え出す私。不意に手にある紙の束を開けば、ある事に気がついた。
先程先生は言ったのだ。
桜並木を背景に持つ絵もある…と。確かに描いた。描いた覚えがあるのだが、スケッチブックを見返すと、数枚の中で該当するものはない。おかしいな。もう一度見てみるが結果はさっきと変わらずだ。
『先生、さっきの…』
｢ん？｣
気づけば携帯を手に取っている先生。多分私がスケッチブックを穴があくほど見ている時、誰かに電話していたのか。もう会話は切れている様だった。慌てて窄めた声のボリュームを元に戻す。
『桜並木の背景の絵って言ってましたけど、そんなのこれには無いですよ…？』
｢でもお前は描いただろ？桜の中で笑う俺を｣
『描いたけど…』
そこまで言ってやっと気づいた。いつ書いたか。昨日だ。昨日、私に抱き着いたまま眠ってしまった先生を寝かせた後、代わりにモニターを監視していた時。眠気覚ましに、そう思って手に取ったのは鉛筆と少し小さい画用紙。それらをモニター机で操り、絵を描いた。
でも、先生が起きて、もう寝るよう言われて、私は眠りについた。あれ？絵は片付けたっけ？置きっぱ無しじゃないよね？
『先生…まさか、私あの絵そこに置きっぱなしだったりとかします…？』
まさかと思い先生に声をかければ、怪しく笑った。せいかーい、と手をやったのはズボン。カーゴパンツ特有の、ポケット。トントンと指をつつくとカサと紙の音がした。
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くすさな(プロフ) - 夜空舞琳さん» すみません…気付かなかったです(><)訂正しました！よろしかったら確認お願いします！これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年3月5日 13時) (
レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
夜空舞琳(プロフ) - ページ31の里見が風見になってますよ (2019年3月5日 9時) (レス) id: 560c97d27f (このIDを非表示/違反報告)
くすさな(プロフ) - さくさん» ありがとうございます！そんな事を言って頂けるとは...感無量です(*^^*)これからも頑張りますね!! (2019年3月5日 0時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - 続きがすごく気になります！更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2019年3月5日 0時) (レス) id: 0e87e79620 (このIDを非表示/違反報告)
くすさな(プロフ) - 花音さん» ありがとうございます(´∀`)頑張りますねっ！ (2019年3月3日 16時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くすさな | 作成日時：2019年2月25日 23時
