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その後何気ない会話を続けていると、手当が終わったらしく、包帯の端を切る音がする。パチン、ハサミを救急箱に戻した中尾は下に戻ろうとした
｢じゃあ、先生。俺戻りますね｣
｢あ、まて。まだ頼みたい事が有るんだ｣
それを俺は呼び止める。手招きをし、呼んだのは彼女の所。
｢こいつも甲斐に殴られてな｣
｢アイツ手加減無しですね｣
｢まぁそれが普通の立てこもり犯にする態度としては正しいさ。｣
頬を撫でるように指を這わせば、若干動く。その肌はもちもちしていて、到底もうすぐ死んでしまう人間には思えない。彼女の長いまつ毛を眺める。
｢それで、俺はこの後授業なんだが、その間こいつのこと見ててくれないか？｣
｢え、多分目を冷まさないと思いますけど…｣
目を覚まさないから着いていなくても大丈夫では無いかという。しかし心配な事もあるし、何より不安なのだ。彼女がいなくなる事が。
｢お前には少しだけ話しておこうか。Aはもう……長くないらしい｣
｢それって…！｣
｢いや、不治の病…とまでは行かないが、もう手遅れなんだそうだ。そしてこの前病院に行った時、病状は悪化していて……余命宣告を受けた｣
昨日、涙を見せず淡々と話した彼女。なんで泣かないのかとか、悲しくは無いのか、絶望を感じなかったのか。聞きたいことは沢山あったが、彼女は前を向いていた。
自分の病と戦い、前を向いて歩みを進めていた。そんな彼女にその様なことを聞くのは邪道だろう。
｢そのせいもあって、時々呼吸が出来なくなる。お前には俺が居ない間、それが起きないか見ていて欲しいんだ｣
｢……分かりました｣
｢呼吸器はここに入ってる。使い方はポーチの中のメモに書いてるはずだ。そいつはマメだからな。自分が倒れた時、他人が困らないように全てそこに必要なことが書いてある｣
薬と呼吸器が入ったポーチを中尾に渡す。静かにそれを受け取った彼は、慎重な趣でそのメモに目を通している。じゃあ、後は頼んだぞ、と言い残し彼女の頬にキスを落とす。ノートパソコンと共に準備室をでた。
美術室を抜け、教室に向かおうとする…が、俺は直ぐに足を止めた。ノートパソコンを美術室の机に置き、しゃがみこむ。ひとつずつ落ちている筆を拾う。さっき、準備室に入ろうとしていた生徒達を威嚇する為に、鉄パイプで殴り飛ばした美術道具達だ。
黙々と拾っていく。だがそのうち、頭の中はひとつの事…いやこの場合は彼女の事だろうか。その事で一杯になった。
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くすさな(プロフ) - 夜空舞琳さん» すみません…気付かなかったです(><)訂正しました！よろしかったら確認お願いします！これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年3月5日 13時) (
レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
夜空舞琳(プロフ) - ページ31の里見が風見になってますよ (2019年3月5日 9時) (レス) id: 560c97d27f (このIDを非表示/違反報告)
くすさな(プロフ) - さくさん» ありがとうございます！そんな事を言って頂けるとは...感無量です(*^^*)これからも頑張りますね!! (2019年3月5日 0時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - 続きがすごく気になります！更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2019年3月5日 0時) (レス) id: 0e87e79620 (このIDを非表示/違反報告)
くすさな(プロフ) - 花音さん» ありがとうございます(´∀`)頑張りますねっ！ (2019年3月3日 16時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くすさな | 作成日時：2019年2月25日 23時
