･ ページ13
椅子に座る先生。ロフトなんてあったんですね、なんて言えば前からあったぞ、と返された。
やっぱり私がちゃんと見ていないだけだったらしい。
その後、警察が来たのを先生がアナウンスで出迎えたりした後、準備室には平穏が訪れた
回転式の椅子を左右に揺らしながら話すその姿は、生徒を人質にとって立て篭る犯人には見えない。
じっと先生を見つめていれば。
こちらを向き、止まる。いつになく真剣な顔
｢さて、Aをここに招き入れたのには理由がある訳だが｣
『理由…』
｢そう。理由｣
指を刺されたのはジャケットのポケットからはみ出る大きめのポーチ。それはさっき先生が携帯やカバンを回収した際に、見逃してもらった物だ。
なぜ見逃してくれたかと言うと、その中身を先生は知っているから。
『これがどうしたんですか？』
ポケットから取り出しチャックを開ければ、顔を出したのは大量の飲み薬と、呼吸器
昔は薬を飲むのが苦痛だったが、今はそんなに苦痛を感じる事は無くなった。まぁ、慣れというものである。
｢いや、今朝も思ったんだが…その薬の量、増えてないか？｣
『あぁ。その事ですか』
先生の指摘に、一瞬胸が詰まった。だけれどいつもと変わらない顔で言ってやった
『もう長くないみたいなんですよ』
黙ってる先生。今度は待っている、と言うより声が出ない、というような様子。
『この前また病院に行ったんですが、悪化してたみたいで。』
｢…………余命は｣
小さくつぶやくように言う先生は私よりもつらそうだった。眉間にシワがよってるよ、先生
『1年あれば良いそうです。そもそも2年前に見つかってからここまで生きたのが奇跡みたいなものですよ。』
｢お前は｣
今度は声が震えていた
｢お前はそれでいいのか｣
そう問われて、少し返答に困ったものの、答えはひとつだ。
『いいも何も、私にはどうしようも出来ませんし、医者だって匙を投げるんです。抗うことは出来ませんよ』
突然襲った激しい頭痛。病院に行ってしまえばもう既に手の施しようがないに近い状況だった。
その後何度も手術をしたけれども、転移が収まることは無く、もう、お手上げ状態。医者も治療を諦め、今後の生活をどう過ごすかと、話を持ちかけてきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 388人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くすさな(プロフ) - 夜空舞琳さん» すみません…気付かなかったです(><)訂正しました！よろしかったら確認お願いします！これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年3月5日 13時) (
レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
夜空舞琳(プロフ) - ページ31の里見が風見になってますよ (2019年3月5日 9時) (レス) id: 560c97d27f (このIDを非表示/違反報告)
くすさな(プロフ) - さくさん» ありがとうございます！そんな事を言って頂けるとは...感無量です(*^^*)これからも頑張りますね!! (2019年3月5日 0時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
さく(プロフ) - 続きがすごく気になります！更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2019年3月5日 0時) (レス) id: 0e87e79620 (このIDを非表示/違反報告)
くすさな(プロフ) - 花音さん» ありがとうございます(´∀`)頑張りますねっ！ (2019年3月3日 16時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くすさな | 作成日時：2019年2月25日 23時
