ピースサイン（米津玄師）

理由30 ページ34

サヤsaid

暫くして2人共描き終わったので交換することに。


サヤ「はい。どうぞ」

玄師「うん。ありがと。サヤもどうぞ」

そう言ってお互いの絵を貰う。
私は玄師くんの絵を見て言葉を失う。
これって…

玄師くんの方をゆっくりと見る。
玄師くんも私と同じく言葉を失っているようだった。


玄師「…サヤ、これって」

サヤ「…秘密基地…だよ。その中で…玄師くんと私が笑ってるの」

上手く言葉が続かない。声が震える。
玄師くんはやっぱり凄いや。


玄師「サヤ、どうしたの？」

サヤ「…何でもないよ。嬉しくて…玄師くんのこの絵って」

玄師「うん。そうだよ。サヤと僕の絵」

サヤ「玄師くん…ありがとう。私も玄師くんといると楽しいよ」

玄師「…うん。ありがとう」

玄師くんの描いた絵には私と玄師くんが笑顔でピースサインを掲げている希望に溢れた絵だった。








玄師said

ピースサインの意味は楽しさや親愛の情。
でも、本来は平和を祈る事なんだ。


サヤといてそれだけで僕は楽しくて幸せだと思う。それと同時にいつか来る悲しみに恐れを感じてしまうんだ。
それでもこう願うんだ。


いつだって目を腫らした君が二度と悲しまないように笑えるそんなヒーローになれたならいいと。


サヤの絵を見た時に言葉を失った。サヤも僕の絵を見て口をパクパクしていた。
言葉にならないんだ。


どんな言葉も違う気がするんだ。
本当は泣いてしまいそうになった。
秘密基地で2人で笑っているその絵を見た時。


決して上手とは言えなくてもその絵は僕には十分に伝わったよ。





玄師「ねぇ、サヤ…これ貰ってもいい？」

サヤ「え？勿論！私も貰ってもいいかな？」

玄師「いいよ。サヤを想って描いたから」

サヤ「わ、私？…私も玄師くんの事考えて描いたんだ」

そう言って照れながら笑うサヤの横で僕の心はまた高鳴った。


この気持ちも言葉にしなくても伝わればいいのに。

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