ピースサイン（米津玄師） (ページ11)

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理由7 ページ11

サヤsaid

サヤ「玄師くん、もう大丈夫だよ」

玄師「ほんとに？」

サヤ「うん、ほんとに」

玄師「分かった」

玄師くんはそう言うけどまだ抱き締めた手を離そうとしない。
寧ろ強くなるばかりだ。

やがて玄師くんは顔を上げてこう言った。

玄師「サヤが大切だよ」

サヤ「え？」

思わず私も玄師くんの方を見て顔を上げる。
抱き締められたままなので顔が近い。
投げかけられた言葉も恥ずかしい。

玄師「サヤ、君を守りたい」

サヤ「何それ」

私はその真剣な顔を見る事が出来なくて前をただ見つめて笑みをこぼした。

ねぇ、玄師くん？
私だって玄師くんの事が大切で守りたいと思えるものなんだよ？

玄師「サヤはやっぱり笑っていた方がいい。笑ったサヤが1番いい。でも、サヤが1人で泣いてるのは嫌なんだ」

サヤ「…玄師くん、ありがとう」

私がそう言うと玄師くんは私の方を見て笑った。
私もつられてまた笑う。

やっぱり玄師くんは優しいんだ。
それじゃあ私はどうだろうな？

暫くするといつの間にか手は離れていて玄師くんが口を開いた。

玄師「今日は帰らないんでしょ？」

サヤ「うん、帰るつもりはない」

玄師「それなら僕も帰らないよ」

サヤ「え？玄師くんも？」

玄師くんは困ったように笑ってこう続けた。

玄師「だってサヤがいると思ったから此処に来たんだよ？1人で帰ったら意味ないよ」

サヤ「うん、分かった」

玄師「それにサヤのことだから母さんに今日は帰らないなんて意地張ったんでしょ？」

サヤ「うっバレてたか」

そうお母さんに帰らないと意地張っていたのは紛れもない事実である。
玄師くんにはお見通しなのだ。
なんか悔しい。

玄師「あぁ、なんかお腹空いたな」

サヤ「相変わらず自由だな。お菓子あるでしょ？それ食べようよ」

玄師「サヤのクッキー食べたい」

サヤ「クッキー？確か棚の中に…」

そう言って私は木製の戸棚を開いてクッキーを探した。
すぐに見つかったのだが。
秘密基地にはいつでも食べれるようにお菓子を駄菓子屋さんとかで買ったり、私が作ったものがこの戸棚に入っている。大体の物は揃っているのだ。
因みにクッキーは湿気ないように乾燥剤を一緒に入れて保管してある。

眠る為に毛布とかもあったりする。
玄師くんがよく寝る時に使ってる。
すぐ寝ちゃうから。