僕らの秘密が【Fischer's モトキ】

21･トーナメント【バスケ】 ページ21

ﾀﾞﾑｯﾀﾞﾑｯ

ボールをつく音

ｷｭｯ

シューズの擦れる音

それら全てが谺響する。懐かしい脳内の響きに心地よさが立ち込めた
目を瞑れば部活のメンバーが思い浮かぶ

床に座りながらバッシュの紐をきつく締める。センターだった俺のシューズはハイカットでくるぶしが丁度隠れるくらい。やっぱりこの足が固定されている感じが落ち着くんだろうな

あの頃に染み付いた癖やスタイルは変えられない
そう。変えられないんだ

『はじめさーん！準備終わりました〜』

はじめ｢おお〜やっぱり様になってるね｣

シルク｢Aははじめさんと同じセンターらしいっすよ｣

バッシュ履きに気を使う私を待っていた二人。ボールを抱えこちらを振り返る二人はさながら、バスケポスターの様でカッコイイ

モトキ｢じゃあ試合…する？｣

カメラを持ちながらコテンと首を傾げるモトキ。熱が下がっていたので、ついて行きたいと言ったのだ。勿論運動は大事をとって見学
ある程度の審判要員

定点カメラを回しながら試合を始める。まず初めに1on1戦の勝ち上がり戦

はじめさんの背の高さを利用した全面的なシュートカット。シルクの相手の溝をつく背丈を活かした細かいドリブル。どれも手馴れたものだった

そして次にシュート対決。モトキに時間を測ってもらい、3Pの本数を競う。

それから俺らは、空いた時間を全てバスケにぶつけた。最後は少しモトキも参加していた。まぁ、熱は完全に下がっていたし大丈夫だろう。

そして帰り道。近くの体育館を借りたので歩きだった。
外は丁度夕暮れでオレンジの光が眩しい。後ろを振り返れば真黒い闇が俺を見ていた

シルク｢綺麗だなー｣

モトキ｢うん｣

光と影を表すかのようなその風景は日常な筈なのに、ふとした瞬間にその価値を再確認させられる。マサイがいたらカメラを向けたかもしれないな

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