僕らの秘密が【Fischer's モトキ】

16･ブルーシート【七夕】 ページ16

お前を驚かせたかったんだよ、と笑うシルク
床では相変わらず笑い続けているはじめさん

何を隠そう。俺は1番慕ってるYouTuberとして真っ先に上がるのがはじめしゃちょーさんだ
メンバー外で数少ない何故か気が許せる方で
大物youtuberとして名高い彼だが、そんな素振りは一切見せず俺らに対してもまた、対等に接してくれるのだ

勿論先輩という事は忘れていない

『ところではじめさん、その大荷物何ですか？』

はじめ｢ん？これ？これねー。ブルーシート｣

彼の後ろに佇んでいる大きな紙袋。そこから時折飛び出している青いものはどうやらブルーシートらしい
企画に使うのだろうか。そう俺が聞けば、ご名答！と指をパチンッと鳴らすはじめさん

話によると二年ほど前、七夕にあげた動画のネタをシルク宅にて再トライするらしい。年に一度しか会えない彦星と織姫達を引き裂く川を、いつでも会えるように歩ける川にしようではないか

その川を片栗粉と水で作り｢ダイラタンシー｣という現象を使って再現しよう。そう思ったのが発端だったらしい

シルク｢あー。確か前に浅すぎて浮いているのが分から無かったやつですよね｣

はじめ｢そうそう。丁度七夕だし、再チャレンジって事で｣

『え？今日七夕？』

シルク｢らしいな。俺もさっき知った｣

はじめ｢いや、日付感覚崩れすぎでしょ｣

真面目なはじめさんのツッコミが響き渡った


☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆


オープンニングを取り終わり、カメラと三脚を移動させる
川を作る場所は、玄関からリビングに入るまでの廊下に決まった。風呂場も近く、何かと準備しやすい

シルクと俺でブルーシートを設置し、はじめさんが風呂場で片栗粉を水に溶かす作業と役割分担をした

横でせっせとブルーシートガムテープで固定をするシルクを見る。また俺の服を着ていた

『シルク、それ俺の服』

シルク｢んあ？…ホントだ｣

恐らくここはカットだろう。そんな事が頭に浮かんだ

シルク｢別にいつもの事だろ。それにお前も人の事言えねぇ｣

そう指を刺され、下を見ればシルクのパーカー。適当に着て来たものがシルクのものだったらしい

『別にいつもの事だろ』

シルク｢真似すんな｣

思わず笑いがこぼれた。オウムかよ、と大口を開けて笑う彼。笑いすぎて作業が進まなかったのか、風呂場からはじめさんが顔を覗かせた

はじめ｢俺も混ざりたいから、早くしてー｣

頬を膨らませてそう言うはじめさんが、なんだか可愛かった

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