12・始まりの初め【秘密】 ページ12
ポツリポツリ、言葉の雨を降らす
それはやがて地面に落ちて飛び跳ねた
『何も言わないで………聞いててほしい』
そう言えば、安心して分かってるから、と言うように深くゆっくり頷いてくれた
その顔は優しくて、心が痛む
『俺が性別を誤魔化し始めたのはFischer'sと出会ってからなんだ』
モトキ「僕らと?」
『うん。俺だけ違う学校で、皆より先に土手で遊んでた俺を、一緒に遊ぼう。って誘ってくれた』
昔の記憶。懐かしくもあって一番の思い出。忘れて薄れていくどころか、今でも鮮明に思い出される
それぐらいあの時は俺にとっての人生の転機だった
『その時にさ、俺の名前を教えたらシルクが、A君、って言ったんだ』
モトキ「シルクが……?……じゃあ僕達の勘違いから始まっちゃったのか」
『ううん。違うよ。みんなは悪くない。その時から洋服はメンズばっかりだったし、バスケしてたから髪短かったし、しょうがない事だった』
同じ学校に通っていれば、制服でそんなの直ぐにバレてしまうのだけれど、あいにくそんな訳でもなく
お互いの学校も区域自体は同じなんだけど、端と端で遠かったし、気付かないのも無理が無かった
『それから皆と遊び始めて、少しずつ違和感を感じだした。もしかして男って思ってるのかなって』
出会いの初めからAくんとは言われてたものの、こんななりだから学校でも君付けで、何も違和感を感じなかった
『でも今更言ったっておかしな雰囲気になるだけだし、何より、その頃には今と同じ位皆のこと好きになってたんだよ。それなのに真実を言って離れられるのは、その頃子供の俺には耐えきれなかった』
優しい瞳に吸い込まれる。白でもなく黒でもなく薄暗いこの部屋は、モトキの寛大さを表していた
何も言わずに俺に合わせて呼吸をするモトキ
『そのほんの少しの勇気が足りなくて、言わないといけないんだけど言えなくて。どんどん長引く間に言うことさえも諦めてた』
あの時の俺は今よりもっと優柔不断で、誰かに嫌われる事を恐れてた
それは勿論Fischer'sにも
『それで皆に秘密を作る形になっちゃった。楽しいならそれで良いかもって。でも秘密のせいで仲間のひとりを失った』
段々と声が震え出す
誰かに僕の秘密を話したことは無かった。決して誰ひとりとして、ない
『去っていく仲間を見ながら、震えが止まらなくなった。俺もバレたら、ここを去らないといけない。そんな恐怖に押しつぶされそうだった』
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友美桜(プロフ) - まなかさん» ありがとうございます(´˘`*)まちまちになってしまってますが頑張ります! (2018年1月7日 6時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
まなか - すごく面白いです! 更新頑張ってください^^* (2018年1月6日 10時) (レス) id: d753ca05a1 (このIDを非表示/違反報告)
友美桜(プロフ) - みかんさん» すみません。最近何かと忙しいくて更新できていません…。ですが、少しずつ書いているのでご安心ください。用事が一段落したらまた毎日更新出来るかと。ご迷惑おかけします。体調にも気をつけますね。ありがとうございますσ(´ω`*) (2017年10月11日 7時) (レス) id: 780399e946 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 少し早めに書いていただくと嬉しいですこれからも体調崩さずに頑張ってください! (2017年10月8日 8時) (レス) id: 3b59d20649 (このIDを非表示/違反報告)
れやーと - 友美桜さん» いえいえ…!こちらこそ、失礼しました!イベント参加、全然迷惑じゃないです!むしろ嬉しいので、どうぞお気軽に…(●´ω`●) (2017年9月6日 12時) (レス) id: 560fb3554a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:友美桜 | 作成日時:2017年8月9日 2時