僕らの秘密が【Fischer's モトキ】

1･虫嫌い 【アスレチック】 ページ1

夏になると、土からはいだしてきた幼虫が羽化し
羽を広げほら高く飛び上がる

木々からは耳をつんざくほどの蝉の鳴き声が聞こえ、ジシッと音を立てて次の木へと

溢れんばかりの命の数に、Aは笑顔を漏らした

『…無理無理。虫無理。外出たくない』

シルク｢何言ってんだよ。撮影があるんだから早く来い｣

その引きつった笑は、メンバーからするといつもの事で
渋るAを引きずりながら車に乗せる

ンダホ号こと、ンダホが運転する車に乗り
走り出した

車内はクーラーが聞いていて気持ちがいい
あらかじめンダホが準備でもしていたのだろう
優しい彼なりの手回しだ


『で？俺を無理矢理連れ出してどこ行こうって話よ？』

モトキ｢そりゃあ、みんなこの格好ならだいたい分かるでしょ｣

そう言われ、周りを見ればスポーツウェアを綺麗に着こなす皆

シルクはいつもの事で何ら変わりがないが、マサイは新しい物に袖を通していた

ンダホは相変わらずのふざけTに短パン、隣に座るモトキはよく切る真っ白いトレーナーにジーパン

夏らしい格好の人もいれば、寒そうな人もいて、何か変な気持ちだ

『え？アスレチック？』

シルクがこくんと頷く

『なら早く言ってよー！俺ちゃんとウェア買ったのにー』

マサイ｢Aはいつもウェアじゃんか｣

ンダホ｢確かに！普段着ウェアしか無くない？｣

そう言われてみればそうだ
今も普段着の状態なのだが、シルクと似たような感じに

いつから回っていたのかわからないカメラを俺に向けながら、シルクが大きい口で笑った

シルク｢こいつ、俺ん家かマサイん家に止まることが多いんだけど、俺も普段着ウェアばっかだから服がさどっちのかわかんなくなんの｣

モトキ｢あぁ。この前シルクさAの服着てたもんね｣

マサイ｢俺のパーカー もシルクに取られて無いんだけど｣

運転をしながらも、ゲラゲラわらうンダホに冷や冷やするが
まぁ楽しいから良しとしよう

ンダホ｢俺の服はデカイからあんまりないけど、服が入れ替わるのはFischer'sあるあるだよね｣

『それはほんとそう！視聴者の皆さん、服が入れ替わってるの気付いても、スルーしてね！』

カメラに向かって笑えば、また笑いがおきる

笑いあっていれば時間が早く過ぎるのはいつもの事で、
目的地がドンドンと近づいてきた

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